■ギャルバイ、キャバクラ、ラビリンス■
所沢の古本市にて、アリイ製「美少女ギャルバイ ベレーちゃん」を入手。
80年代というよりは、昭和を感じさせる絵柄。後ろに描かれたバイクも、しっかりデッサンが狂っている。
内容は、ディフォルメされた動力入りバイクと三頭身フイギュアのセット。フィギュアは展示台(お立ち台)付きの立ちポーズなので、バイクには乗れない(でも、バイクは動力入り……という矛盾したコンセプトが良い)。
「タンクトップのセクシーぶりっ子とヤマハTZ250のドッキング!!」という箱の謳い文句が苦笑を誘うが、当時は、「アニメ流行ってるし、プラモなんてこの程度でいいじゃん?」という虚脱感に似た気楽さが、模型界に漂っていた気がする。あの時代、プラモデルはアニメと「寝た」んですよ。あの起きぬけの気だるい感じは、80年代前期のホビージャパンを読むと、よく分かる。
中身はこんな感じ。瞳デカールが付いているという事は、バンダイ製ラムちゃんの後の発売だね。あと、見逃してはならないのが「LIFE WORK」と書かれたデカール。これはベレーちゃんのタンクトップに貼るためのロゴなのです。そんなこと、説明図には一言も書いてない。つまり、ユーザーに「お前ら、気づけよ」と。物言わぬ凄み、脅迫にも似た気概が伝わってくるではないか。……ま、実際は書き忘れただけなんだろうけど。
これ以外に入手したのは、ホビージャパン83年10月号(創成期のガレージキット特集)、DARTS編集のタツノコ・ヒーローズ(セルワークはアートミック)、恐竜の図鑑など。一緒に回った友人と、日が暮れるまでお話。市民ホールはタダだし、落ち着ける。
その夜、都内に戻って仕事の打ち合わせ。先日、怒鳴られたキャバクラへ、逡巡した挙句に行ってみる。「そういう言い方って、失礼だよね。失礼だと思わない?」とまたしても怒られる。まあ、水が合わないんだろう。約束していた『時をかける少女』のDVDを「別に、返さんでもいいよ」と投げ渡す。これでカタはついた。俺にとって、『時かけ』は飛び道具だ。
水曜日、立川へ『パンズ・ラビリンス』を観に行く(いつ仕事してるんだろう、俺)。チケット売り場で、60歳ぐらいのおじさんが「どんな映画なの?」と聞いていた。チケット売り場の係員は、「ホラー映画です」と断言、おじさんはチケットを買わずに逃げ帰ってしまった。確かに、クリーチャーのグロテスクさはハンパでない。ただ、それは必然性のある醜さだ。
ピーター・ジャクソンの傑作『乙女の祈り』も、妄想シーンの気持ち悪さに美学が感じられた。あと、DVD化されてないようだけど『白銀のラビリンス』というノルウェーの映画も、淫靡で陰惨で、それゆえに美しい映画だった。
『パンズ・ラビリンス』もその系譜。現実に起きることは、超現実的にしか語りえないのだ、と思う。
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