■内藤ルネさんのこと■
内藤ルネさんが亡くなった。
自伝『すべてを失くして』を編集された方から、わざわざメールで教えていただいた。風邪に臥せっているせいか、ちょっと堪える。この本が出たのが、ほんの二年前。その前後、僕は修善寺の人形美術館へお邪魔して、「フィギュア王」で二回にわたって特集を組んだ。正直に言うと、あの当時はルネさんという方をよく知らずに企画を立て、聞きかじりで訪ねたような気がする。
どういう人なのか理解したのは、『すべてを失くして』を読んでから。耽美的で夢見がちで、生活力がない。人にだまされ、タイトルどおり財産も信頼も失い、それでも復活をとげたルネさんに元気づけられた。あの夏は弥生美術館で個展が開かれていたので、一人で見にいった。たまたまルネさんがいらしていたので、僕は何食わぬ顔でサインを待つ列に加わった。ちゃんと挨拶せねば、と思ったのだ。
「フィギュア王」100号のとき、編集が「やっぱり100号はルネさんに登場してもらおうよ」と言い出し、またも修善寺へ。修善寺ってのが、また寂れた街でね。ついの住家としてはぴったりの場所。ルネさんはひとしきり話されたあと、ヒョイと美術館の裏のアトリエへ引っ込んでしまう。でも、今度の記事はすごく良く書けた。「目の前にルネさんがいるみたいだ」って。
すごくビックリしたのは、「フイギュア王」の表紙のダース・ベイダーをご覧になって、「あら、スター・ウォーズ。クイーン・アミダラが素敵でしたね」なんて言うんだよ(笑)。「えっ、スター・ウォーズなんてご覧になるんですか?」と聞いたら、「いえ、最近は映画館へも行くこともなくて……」。雑誌か何かでご覧になって覚えてたんだろうね。アミダラ女王へ目が行くところはさすがだな、と『すべてを失くして』を読んで納得したのを覚えている。
過去の膨大な仕事に目を通すと、「長らく、ご苦労さまでした」と言ってあげたい。晩年にブレイクしてファンが増えて、もう十分に勤めは果たされたんじゃないだろうか。寂しい死でなくて良かった、とにわかファンの僕は思う。
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コメント
確かまだメガ日記だった頃
ああ、何かイイな。と感じた日記が確か
「内藤ルネさんの個展を見に美術館へ」
という内容だったと記憶しています
投稿: 朝の銀狐 | 2007年10月25日 (木) 23時49分
■朝の銀狐さま
おっ、そんな昔のこと、よく覚えてますね。
メガ日記のデータは、ブログに移行してから、すべて削除しました。
また、あの頃のような雰囲気に戻したいですね。
投稿: 廣田恵介 | 2007年10月26日 (金) 01時02分