■鬼太郎の憂鬱■
フジテレビを取材することになったので参考のため……というのは建前で、田中麗奈のネコ娘だけを目当てに見てきました。実写版『ゲゲケの鬼太郎』。実写版『鉄人28号』の蒼井優の扱いに関しては、来月15日発売の「グレートメカニック」オヤジ酒場を読んでいただくとして、やっぱこう、子供向けにつくってるくせに「でも、お父さん方も退屈でしょう?」って気配りで出てくるコスチューム系ヒロインね。 でも、しょせんは子供向けだから、露出もほどほどで。
ネコ娘は、手足の露出は大胆だったけど、どちらかというと鬼太郎に「パーッと遊びに行こうよ」と誘っちゃうところが良かった。放埓で刹那的で、でも本当は寂しがり屋……いいんだけどな、もうチョイ魅力に欠けたかな。
なんでかっていうと、ウエンツくんの演じる鬼太郎が可愛すぎるから。この脚本って、大仕掛けにならないように丁寧にシーン配分が考えられているんだけど、鬼太郎の立ち位置が泣かせるんだよ。人間の世界に土足で入り込んでくるくせに、飽くまでも人間と妖怪の境界にとどまることしか出来ない。その切なさをウエンツくんの知的な瞳が、よく表現している。ケータイで写真撮るシーンの戸惑った表情とか、もうあのあたりボロ泣き。その上で、あのラストは卑怯だよ!鬼太郎の言動ひとつひとつが理にかなっていて、ちゃんと自分の力の限界も知っていて、だからこそヒーローになり得ている。っていうか、ヒーローになるぐらいしか、落としどころがないわけ。そこに、もうギュッと胸をつかまれた。
いわば、「みんなから信頼されるがゆえに学級委員を押しつけられちゃう転校生」。この映画の中で、彼はたったひとつの望みを捨てざるを得ない。でもまあ、僕にはネコ娘がいるし、いいか……みたいな明るくも切ないラストです(曲解すると)。
ウエンツくんはハーフであるからこそ、妖怪から責められ、人間の世界にも入れない鬼太郎を演じられたのかも知れないね。『鬼太郎』って原作マンガ自体はそんなに詳しくないんだけど、いわゆる漂泊民だよね。ネズミ男も含めて。そのしっとりした後ろ暗さが、この映画にはきっちり込められていて、とても好意を感じたな。
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コメント
鬼太郎、観たい映画候補じゃなかったんだけど、廣田さんのレビュー(?)読んだらすごい観たくなりました^^
投稿: yuki | 2007年5月 8日 (火) 14時53分
■yuki様
鬼太郎の恋愛が「未遂」に終わるところが、実に味わい深いよ。
オススメ。
投稿: 廣田恵介 | 2007年5月 8日 (火) 18時26分
廣田さんが鬼太郎にキュンキュンゆってるのが萌えですね。
投稿: 眼鏡屋 | 2007年5月 9日 (水) 01時59分
■眼鏡屋さま
完全に、猫娘の生足を狙って行ったはずなんですけどね。
恋に悩む鬼太郎のまなざしにキュンとなってしまいましたよ。
投稿: 廣田恵介 | 2007年5月 9日 (水) 02時55分