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2007年4月24日 (火)

■理想の食事は宇宙食■

腹が立つぐらい周囲の誰もほめてくれないので、もう自分から書く『創星のアクエリオン 裏切りの翼』に付属する特典CDドラマの脚本を書きました。しかも、2本も。
Aq16c323bamenテレビ放映がはじまった当時、俺はただの一視聴者でしたから、ファンとしては大出世だと思うんですけど。けっこう、周囲は「ふーん」って感じ。まあ、ほとんどプロデューサーの方たちと河森監督が考えたネタをまとめただけなんで、「俺の作品」とかいうつもりは毛頭ないし、収録も怖くていけなかったし……

この『アクエリオン』って、嫌いな人には徹底的に嫌われる作品なんだけど、それは食生活であるとか精神力であるとか、アニメを見ている間はつっこんで欲しくないところへ言及するからじゃないだろうか。 “アニメを見ている間”というのは、完全にヴァーチャルな世界に浸りたい時間。だから、みんな洗練されたほころびのないモノを求める。庵野秀明さんが言ってた「理想の食事は宇宙食」、この感覚に近い。無菌室に入るような感じ。
アニメという表現がテクノロジーの塊である限り、人工的なものとの接点は切れないと思う。例えば新海誠さんの作品は、描きこめば描きこむほど人工美が際立っていき、そこが受けてるんだと思う。あれは現実に存在するノイズを丁寧に取り除いた世界だから。
俺もどっかで「現実世界の汚さ」……それは皮膚感覚的な嫌悪感なんだけど、「どうして現実世界って完璧じゃないんだろう」と感じる部分もあるんでね。分かるのさ、アニメに清潔さを求める気持ちは。

で、『アクエリオン』はそれを壊している。主人公の靴が臭い、とか(笑)。女の子の足跡まで「臭い匂い」という。それはギャグに使われるんだけど、記号ではないんだよね。Aq10c012
苦手な人は、「臭い」ってだけでもうダメらしい。いや、それは俺も分かる。ギャグでも絵でもいいんだけど、洗練されてない分、生身の人間……「匂い」をアニメという人工物の中に感じてしまう。それを不快に感じる割合の高い人にとっては、『アクエリオン』は苦手なのかも知れない。
曖昧なもの、イレギュラーなものはアニメの中には入り込みにくい。それをやってしまったのが『アクエリオン』の強みであり、弱点でもあるのかも知れない。

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コメント

初めまして。
読んで頂けるかどうかわかりませんが、書き込みさせていただきます。

先日、やっと裏切りの翼を入手し聞きました。

どんな作品でも思うのですが、たくさんの人の手によってまとめ上げられていくのですよね。
自分が携わった作品に関しては、どうだった、と感想も気になるところ、というのは分かります。

私は綺麗な作り込まれた世界も好きですが、アクエリオンのように現実の何かと交差する作品の方が惹かれます。
アニメを芸術とするならば、紹介された作品のほうがすらっと入っては行けますよね。

少し昔の作品を見てみると、とても人間臭いものが多いのに気が付きます。
混濁した世界をありのまま組み込むのはとても大変な作業であったとも思います。

シナリオの書き上げお疲れさまでした。

投稿: aika | 2008年1月10日 (木) 14時33分

■aika様
はじめまして。CDドラマ聞いていただき、ありがとうございました。やっぱり、脚本というのはチームプレーなんですよね。二枚目はそれを意識しすぎて、かなり苦労しました。

>少し昔の作品を見てみると、とても人間臭いものが多いのに気が付きます。

仰る通りですね。ちょうど今、ある企画で30年ぐらい前のアニメを見てるんですけど……その頃は「アニメ・ファン」もいなかったし、実世界をお手本にイメージを膨らませるしかなかったわけですよね。
今は「アニメを見て、アニメをつくる」ことが多いように思います。『アクエリオン』は、現実の混沌の中にアニメをまぎれ込ませたというか……だから、ちょっと他のアニメと遊離してるんでしょうね(笑)。

今年も、ちょこちょこと『アクエリオン』の仕事をさせていただいたので、雑誌などに目を光らせていてください。よろしくお願いいたします。

投稿: 廣田恵介 | 2008年1月10日 (木) 19時27分

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