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2007年4月 8日 (日)

■ラノベはロックだ■

どういうわけか、ライトノベル関係の取材に行かされることが多いんだけど、それは自分がラノベのユーザーじゃないので、ある程度の距離感を保って記事を書けるせいなのか。それとも、ラノベ好きと誤解されているだけなのか。
最近、某所でラノベ作家志望者があまりに不勉強ではないか、という声を耳にした。その方は志望者と実際に面接し、彼らが高名な(というか、一般人でも十分に知っているであろう)SF作家の名前を知らないので愕然としてしまい、ひいてはラノベ文化そのものに疑問を持たれたようだ。
不勉強は不勉強でいいんじゃない?と思った俺は、絶対に教育者になれないね。ラノベって、体系だてた「教養」や「知識」から離れたところでも生産できるフットワークの軽さが武器なのであって、読者も啓蒙されたいと思って読んでるわけではないと思う。東浩紀さんの近著を読めばよーく分かるけど、従来の小説を「軽く」「薄く」「甘く」したのがラノベではない。読み解くコードそのものが、我々の知る小説とは根本的に違う。だから、俺たちには読みづらくて当然。
もはや、俺たちオヤジには分からないメディアがオタク界のメインカルチャーをのし歩いている。ゾクゾクするね。

「知識も体験も乏しい若者は、せめて先人の残した書物にあって勉強しようぜ」という正論を、とうとう引っ込めるべき時が来た。むしろ、勉強せねばならんのは俺らオッサンの方なのだ。だって、ラノベってのは知識や体験が乏しいというハンデを逆手に、メディアを通じた(ゲームやアニメなどの)知識や体験を駆使して語る手段なのだから。前から繰り返し書いているが、文化は「何もない」ところから爆発的に芽吹いてくる。知識も体験もないから、若者はラノベに走る。
何しろ、ラノベはお金がなくても書けて、安く買える。図書館にも置いてあるし、おまけに万引きもしやすいサイズ。こりゃあ、強いよ。ラノベはロックン・ロールである。そして、俺らはロックの台頭に眉をしかめるオジサンだ。そういう歳になったのだねぇ。

それを認めたうえで、「ラノベなんぞ知ったことか」とサジを投げるのも自由。あるいは、「小僧ども、小説の何たるかを教えてくれるわ」とオヤジなりの知恵と勇気でラノベ文壇に戦いを挑むのも自由じゃなかろうか。ただ、体制や権威についた瞬間、人は自由を失う。それだけは間違いない。表現はみな、自由を目指すのだ。

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コメント

初めまして。
『ラノベはロックだ』
感動しました。フレーズもかっこいいです。

>ラノベってのは
>メディアを通じた(ゲームやアニメなどの)知識や体験を駆使して語る手段

そうそうそうそう!思わずヒザを打ちました。
アニメやゲームの体験も「人生経験」なんですよね。
バーチャルかどうかって、あんまり関係ない気がします。

媒体というハードにばかり着目していると、
肝心なものが見えなくなりそうで。

投稿: 眼鏡屋yumiko | 2007年4月30日 (月) 02時19分

■眼鏡屋yumiko様
はじめまして、書き込みありがとうございます。
引用された部分に関しては東浩紀さんの『ゲーム的リアリズムの誕生』の受け売りなんです。
で、問題はゲームやアニメといった「体験」に明確な世代差が生まれてきていて、それに関しては僕ら40代の方が圧倒的に「貧しい」という事実。
それを受け入れられず、「古典を読め」としか言えないオジサンがあまりに多いことに愕然としたんですね。

>媒体というハードにばかり着目していると、
>肝心なものが見えなくなりそうで。

仰るとおりで、ラノベは「小説」という形態がひんしゅくを買ってるようです。みんな頭が硬すぎますよ…

投稿: 廣田恵介 | 2007年4月30日 (月) 14時39分

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