■BABY BLUE■
Genius Partyのマスコミ試写に行ってきた。 劇場版『ZガンダムⅢ』の時みたいに、「ラストについては絶対 に書かないでください」と言われたわけじゃないけど、なんで公開日も決まったのに内容をここまで伏せておくのかよく分からないので、一応、具体的記述は避ける。
まず、一本目の河森正治監督『上海大竜』に腰を抜かし、それから一時間ばかり休んでいただき……ラストの渡辺信一郎監督『BABY BLUE』をじっくり味わって欲しい。これは『時かけ』に対するカウンターだよ。タイミング的にそうなっただけで、制作者にそんな意志は微塵もなかっただろうけど。『時かけ』観て、一度は「泣けた」「感動した」と公言しつつ、DVDの発売日すら忘れていた俺は、「あんたが見たかったのは、こっちじゃないの?」とヒジで小突かれた感じ。
『時かけ』を「なんか生理的にダメだった」「どうも騙されて泣いた気がする」と感じているダンナ方には、だんぜん『BABY BLUE』をオススメ。よくある青春モノのはずなのに、語り口がハードボイルド。そんなセリフは出てこないんだけど、「俺らに未来なんかなかったな。でも、それがどうしたよ」、そんな感じ。ぎりぎり寄り添っておいて、ポンと突き放す。視点が大人なんだよ。
『時かけ』をやり玉にあげて申し訳ないんだけど、あの作品って「もう一回観たい」って思わせるでしょ。未練がましいっていうか、「また見てね、何度でも見てね」って媚態が、ぜんぶ計算づくで。『BABY BLUE』は、「一回観りゃ十分よ。いい大人が、いつまでも思い出に浸ってんなよ」。そんな潔さがある。快楽の属性が違うんだ。
ファミレスのドリンクバーで何杯もジュースお代わりするのが『時かけ』なら、『BABY BLUE』はバーで辛口のカクテルをキュッと一杯。やべえ、ホントに飲みたくなってきた。
当たり前のこと書くけど、映画のキモってストーリーじゃなくて、語り口だよね。人生も同じ。何があったか、ではなく、どう味わったか……だよね?
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