■彼女を起こすのは僕の役目だろう■
●相澤仁美 グラビアポエム執筆
●「アイドルのキス顔 チュ!」連載第5回 愛川ゆず季 妄想ポエム館 執筆
僕は、すっかり冷え切ったポテトフライに手を伸ばした。まるでスポンジのように味気なかった。ぱさぱさに乾いたポテトを意味もなくかんでいると、彼女と過ごした長いとはいえない日々、昨夜から今朝にかけての中身があるとはいえない会話が脳裏によみがえって来た。おまけに、外では雪さえ降りはじめている。彼女を起こすのは僕の役目だろう。二人が過ごす時間はすれ違ってばかりだ…… (抜粋)
今回の「キス顔」はよく書けたと思うんだよな。全文掲載したいぐらい。これは高校の帰りに同級生の子とマクドナルドに寄った実体験と、旅行前に好きな子に別れを告げに行くという数年前に見た夢と、ムーンライダーズの「駅は今、朝の中」という曲、それぞれの印象がゴッチャになっている。
実体験だろうが夢だろうが、文章化した時点で均質化されるのが「書く」ことの面白み。僕はもうすぐ離婚一周年で、周囲から気の毒がられたり、気を使われていることが最近わかったけど、僕にとっての離婚は「書く」ことの材料でしかない。これから先、いかようにも活用できるわけだから、離婚しといて良かったし、これはキャバクラ通いにも同じことが言える。あらゆる体験は「書く」ことによって加工可能な状態でストックされるんだ。
離婚や失恋で「書く」ことが出来なくなった文筆業者がいるそうだが、そういう人は転職したほうがいいとさえ思ってしまう。……と偉そうに書いたところで、先日の『オトナアニメ』の僕の記事が誤字・脱字のオンパレードだったので、ちょっと気をひきしめないとね。
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