■そのあたりのサジ加減■
オトナアニメ Vol.3 明日発売!
●『ジャイアントロボ 地球の静止する日』
●『ブラックラグーン』
●『獣装機攻ダンクーガノヴァ』
それぞれレビュー執筆しました。『ジャイアントロボ』は、今川泰宏特集の一部ですね。最初は「名作と認められている作品を、改めて名作と書くのには抵抗がある」と編集さんに意見していたんだけど……結果的にどうなったかは、書店で確かめてみてください。
アニメ雑誌といえば、正月に読んだ押井守の『これが僕の回答である』に以下のような文章があった。「アニメもゲームもデジタルも、雑誌の基本的な姿勢が現場やメーカーや配給会社とまったく同じで「当たってほしい、売れてほしい」という方向性でやるから、新しい情報が生まれない。ジャーナリズムが業界に影響力を行使できない、業界に憎まれるような雑誌がない――そういう力が機能していない業界というのは、正常じゃないという気がする。悪口書かれ放題でもびくともしないというくらいの根拠をもたなければ、アニメもデジタルも幻想で終わる。「売れるアニメが出てくれば雑誌も売れる」――そういう慣れ合いは健全じゃない。」
逆を言えば、慣れ合ってさえいれば、雑誌は出来てしまう。以前にも書いたが、アニメ批評誌が長続きしないのは、版元から画像や資料を貸してもらえなくなるから。それは業界の構造的欠陥であると思う。たまに「DVDの告知さえ載せてくれれば内容は問わない」という有難い場合もあるが、それだってフェアとは言いがたいよね。
やり手の編集者を見ていると、99回はYESと言いつづけて、1回だけNOと言っている。相手が気がつかないぐらいの割合で、自分のやりたいことを押し通している。それが一番、賢いやり方なんだろう。
その名もスバリ『アニメ批評』は、そのあたりのサジ加減が下手だったね……。長続きしないのは構造的欠陥ばかりじゃないのだ。「好き放題に書くと、どうしても悪口になってしまう」という人は、そもそも精神的に問題があるだろう。
それより問題なのは、「自由に書くと、いつの間にか誉め殺しになってしまう」場合。そういうオーダーのもとに書くのなら話は別だが、コピペのような常套句を連発した絶賛文を自動的に書いてしまう人はけっこう多い。そういう人は極端に権威に弱かったりするので、やはり「慣れ合い」は個々人の心の問題なのだ。
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コメント
新年おめでとうございます。年賀状ありがとうございました。相変わらず読みやすい文章ですね。正直言って僕は廣田さんの書く(と言うか描くかも)文章が好きです。「慣れ合い」にまったく無関係なのがこのブログかもしれませんね。今年も宜しくお願いします。
投稿: 直江 | 2007年1月13日 (土) 01時49分
■直江様
あけましておめでとうございます。
いつもブログ拝見しております。本来なら、こちらから
ご挨拶すべきところ、失礼しました。
たまたま、本日はK森監督にもお会いしてきたところです。
>「慣れ合い」にまったく無関係なのがこのブログかもしれませんね。
はい、仕事を奪われたときの最後の砦でしょうね(笑)
なんとなく、近いうちにお会いできる予感がしております。
その時は、また色々とお話しましょう!
投稿: 廣田恵介 | 2007年1月13日 (土) 03時35分