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2006年12月 5日 (火)

■無視しても一向に構わない■

い・いかん。この一ヶ月間、この本の取材でガンプラ漬けになっていたためか、締め切りと打ち合わせと取材が明日一度に来るというのに、この体たらく。
061204_22400001これじゃ、大友の『童夢』に出てきたプラモマニアの浪人生だよ。『ゲド戦記』の第一巻で「歳をとると、自分に出来ることは限られてくる」と書いてあったけど、やること多すぎるよ。イベントもあるし。

昨日、打ち合わせの帰りに、ほとんどアニメを見ないデザイナー氏が「アニメでは、『蟲師』というのがよく出来てましたね。あんないい番組を深夜にやるなんて、すごく勿体ない」と言い出したので、ううむと腕を組んでしまった。
で、帰ってきてから、成り行きで『ネギま!?』の本編を初めて観たのだが……OPがどんなに凄いかは、前に書いたとおり。本編は、第五話をいきなり観た。なんだ、すげぇな、これ!
旧シリーズは文字通りハーレムアニメなので途中でやめてしまった。まあ、基本ストーリーは前とあまり変わらない。お話だけ追っていけば、夕方5時台放映というのもうなずける内容。
061204_22330001ギャグも、まあ普通でしょ。そこそこ萌える絵柄とダバ絵を交互に出すのは、常套でしょう。でも、そのどうでもいいギャグの瞬間瞬間に、無駄に情報が入ってんの。「ハイ」って手を挙げたときに、ワイシャツの袖がちょっとズレるとか。そのシーンとぜんぜん関係ない絵がポンとインサートされたり。同じ構図の中で、ちょっこっとアクションを飛ばしたり。そのリズム感の出し方が、もう神技。俺の脳内で近い感覚を探すと、ロベール・ブレッソン。思わずブレッソンの『シネマトグラフ覚書』を本棚から取り出す始末。
つまり、今の若い連中は萌えながらにしてモンタージュの快感を覚えていくわけだな。
いま、映画史を萌えアニメが肩代わりしている。ブレッソンより『ネギま!?』が格下なんてことは絶対にない。映像を見りゃ分かる。

しかも、その芸術性(と以外に呼びようがない)の部分は、凡百の魔法学園モノの体裁とありきたりのギャグの隙間に、無視しても一向に構わないミクロン単位で隠されてる。
061204_19310001←だから、何なんだよ、この凝りようは(笑))
そこでさっきのデザイナー氏の話に戻るけど、こんな凄い作品が平日の夕方5時半でいいのかよ?と。ちょこっと興味を持った人が好きな時間にネット検索して見られるようになったけど、それを規制して今より状況は好転するのだろうか?
俺がDVDを買う理由の半分は、人に貸すためだ。気に入った作品を他人に触れさせたいわけだ。いつでもどこでも誰でも見られる状況の方が、ユーザーにとってはいいに決まっている。今こそ、送り手と受け手のユートピアを探すべき時期だと思う。『青の6号』のゾーンダイクの言葉を借りるなら、「世界は滅ばぬ。ただ、変わるだけだ」。例えば、YouTubeを無くしたとしても、作品は死なない。僕らが欲しいのは「作品」ではなく「作品を観る手段」なのだ。

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