■この町で一番高い塔■
写真に撮ると、血のついた台本に見えかねないが…内田朝陽さんのサインの入った『スピードマスター』の台本だ!赤いサインペンしかなかったのが、いけなかったかな……? ともあれ、内田朝陽さんのビデオコメント撮影をもって、イベント用素材はすべて終了。内田さんの演じた役のセリフの大半を僕が書いて、それを内田さんがしっかりと自分のものにしてくれていたので、思わずサインとツーショット写真を。もちろん、俳優からすれば誰が書いたかなんて関係ないだろうから、ありがた迷惑だったかも知れないが。
帰宅したら、アイドルグラビアのポエムが3本も発注されていた。いちもにもなく引き受ける。言葉で肉体に関与するのは、面白い。
ちょっと昨日の補足というか、コメント欄に書いたことを咀嚼する。
死んだぐらいで作家の価値は落ちないよ。それを大げさに「日本文化の喪失」みたいに騒ぎ立てるのは気味が悪いよ。「ウルトラマンの新シリーズは、ぜひ実相寺監督に……」って、それはお前が『ウルトラマン』しか知らないからだろ。ガンダムに出演していた声優さんが何人か亡くなったけど、みんな「セイラさんが」「ブライトさんが」「マ・クベ大佐が」って程度の認識しかないでしょって。俺の少年期の思い出に「死」が関与した、これはちょっと追悼でも書くのが大人の態度かも、いや書けるチャンスかも……ってことでしょ。
「死んだ有名人が持つ、この毒々しい娯楽価値って何……」(『ジェネレーションⅩ』より)
たまたま知ってた有名人が亡くなったからって、それを自己粉飾に使うなよ、みっともない。
ここ最近、致命的に勘が鈍っているので、田無のスカイタワー西東京まで歩いてきた。いつもベランダから眺めるだけの建物が、いまや俺の体験の中に折り込まれた。
妄想の燃料は体験だ。見たいものは、自分の足で見に行くに限るね。
| 固定リンク
コメント
実は俺もそう思っていました。作家(声優)は死んでも
作品はここにあるのに・・・って。お世話になった人が
亡くなったの話はなら別ですが、何かの媒体を通してで
しか知らない人の死になぜ、そこまで感傷的になれるか
が理解できず・・・俺ってスッゲー冷血漢なのかなぁっ
て人に言えずにいました。
投稿: gakky | 2006年12月 1日 (金) 23時20分
■gakky様
だからあれですよ、とりあえず「反戦」とか「自殺はイカン」とか
言っていれば免罪符が得られる…って発想なんですよ。
作家に対して期待するのは「作品」。それが大原則ですよ。
死によって作家の価値が上がったり下がったりするのは不自然。
>俺ってスッゲー冷血漢なのかなぁっ
>て人に言えずにいました。
ははは、僕もですよ。
世間というのは、倫理と道徳で動いてますからねえ。
投稿: 廣田恵介 | 2006年12月 1日 (金) 23時46分
>たかが「死」ごときでは、何も失われやしないのですよ。
っていう言葉をキッチリ廣田さんに言ってもらえるのを嬉しがる自分ってのは、それはそれで安易だなあ。と思いながらも、結構嬉しいモンです。
例によって勝手な近況報告。
自分は学校で化学を専攻してるんですが、いくらか前まで「何かやって名前残してやる」と思っていたのが、最近はこういうのに触れさせて貰えているって事がただただ嬉しくて、これからも続けられて、それで食えたらどんだけか幸せだろうか。と思うようになってきました。
この日記は読んでいて結構自分の活力になるので、これからもお仕事頑張ってください。
投稿: 朝の銀狐 | 2006年12月 2日 (土) 01時23分
■朝の銀狐さま
僕は下世話な人間だから、大学で映画を専攻しているとき、
頭のどこかで「売名」を考えてました(笑)
ただ、望みもしなかった今の仕事について、多くの人に会うと、
立派なことを為している人ほど謙虚です。
だから、銀狐さんのつつましさは、ちょっとうらやましい。その歳で。
>これからもお仕事頑張ってください。
ありがとうございます。
そろそろ人生後半戦、バージョンアップしますよ!
投稿: 廣田恵介 | 2006年12月 2日 (土) 11時01分
ブライトさんの声をあてていらした鈴置さんが、お亡くなりになった時 喪失感に涙が止まりませんでした。作品と声とひっくるめてとても大好きでした。
前日のブログとコメントを合わせて読んで、やっと意味(真意)が分かりました。
一瞬でも、あなたを冷たい方なのかと思ってしまった自分が恥ずかしいです・・・。ごめんなさい。
投稿: ゆんゆん | 2006年12月 2日 (土) 20時40分
■ゆんゆん様
いえいえ、世間の言葉で言うと僕は「残酷」なんだと
思いますよ(笑)
ただ、自分に嘘をついてまで好感をもたれたくないというか…
判で押したような追悼ラッシュには、虫唾が走ります。
鈴置洋孝さんのことで言うと、『ZガンダムⅢ』に間に合って、
本当に良かったと思います。
あのラストは、役者冥利につきる名シーンだと思うんですよ。
同時に「だからもう、ガンダムやんなくていいんじゃないか」と。
鈴置さんなら、僕は『青の6号』のユーリ役が好きですし……
才能に感謝しながら遺された作品を楽しむのが、アーティストへ
示せるほとんど唯一の敬意です。
投稿: 廣田恵介 | 2006年12月 2日 (土) 21時21分
残したものに周囲が思いを寄せてくれる人なんて、ほんの一握りの神さまに愛されている人なんだろうと思います。
>才能に感謝しながら遺された作品を楽しむのが、アーティストへ示せるほとんど唯一の敬意です。
分かりやすく書いて下さってありがとうございます。
優しい方です。
何度もごめんなさい。
投稿: | 2006年12月 3日 (日) 10時12分
こちらこそ、コメント欄まで読んで文意を
汲み取ろうとして下さって、とても感謝しています。
ありがとうございました。
しかし、ここ数日の「追悼ファシズム」には、心から
うんざりしましたよ……
「なぜ監督の死に涙せんのだ、この非国民がーッ!」って、
まあそれは大げさですけど、近いものがあったような(笑)
投稿: 廣田恵介 | 2006年12月 3日 (日) 10時37分
勝手ながら、僕は廣田さんの事を師匠だと、一方的に思ってますんで。
>バージョンアップ
自分も10代は今年で最後なので、そろそろ序盤戦も終わりです。来年からは大学へと環境も大幅に変化するので、今のうちにスペックなりバージョンなりのアップを図りたい所。
投稿: 朝の銀狐 | 2006年12月 4日 (月) 01時26分
■朝の銀狐さま
大学に入れば、それこそ本当の「師匠」や「戦友」に
会えますよ。
考えてみれば、僕は19歳のときはボーッと過ごしてましたね。
投稿: 廣田恵介 | 2006年12月 4日 (月) 09時58分