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2006年11月 1日 (水)

■“萌え”と“惚れ”■

「先日、『萌えの研究』という書籍を読んだところだな、メイドキャバというのはアニメやゲームの濃い知識がないと入店できないらしいぞ」
「あ、私、今のアニメ知らないからなぁ……」

061031_23320001場所は深夜のキャバクラ。相手はハロウィン・デーのため、「前から着てみたかった」というメイド服に身をかためた雨女さんである。『萌えの研究』で、苦悶の悲鳴を上げながらもPCゲーム、ラノベと渡り歩いた大泉実成さんには好感を抱いている。この本ではスルーされていたフィギュアを、最近になって認めているのもナイス。(しかし、これで吉祥寺のキャバに詳しい人には、俺がどの店に通っているかバレバレだな)
さて、数時間過ごしてみて、どうも俺はメイドには萌えないというか拒絶反応すらあることが分かってきた。だって、それじゃ『ヴァリアブル・ジオ』みたいじゃん。さっき、旅人食堂でメシ食べてるときの下着みたいなワンピの方が断然よかったぞ。
「あと、キミ、立ち振る舞いがテレビに出ているときの中川翔子に似てる。飽くまでも立ち振る舞いが、だが」と指摘したのだが、それはようするに言動がオタクっぽいかも知れないぞ、気をつけろという意味だ。「それがAガールなんだよ」と開き直る雨女さんの態度に苛立った。「だって、キミ、ボーイズラブとか読まないだろ?」「ああ、あれはちょっとねー」 ホッと一安心。どうも俺は、この人をオタクという落としどころに導きたくないらしい。

「そのシャツ、お洒落ですね」
雨女さんに指名がつき、ヘルプで横に座ったのはショートヘアの婦警さんだった。王子バーで眼力が鍛えられたのか、男装が似合いそうな女性にはピンとくるものがある。
「でね、宝塚にも興味が出てきた今日この頃なんだ」
「ああ、宝塚は服飾学校に行ってるとき、修学旅行で観てきました」

この子は、話もなかなか面白かった。客の誉め方もうまい。しきりに俺を「紳士的」「落ち着いている」と誉めるので、「じゃあ、他の客はどうなの?」と聞いてみたところ、「たいていの人はオドオドしてますね」 あ、なるほど。基本的に、キャバに通うのはモテない男だからな。
Ca270024 向いの席の客が、チャイナ服の嬢に『キューティーハニー』の主題歌を歌わせている。歌い終わった嬢に声をかける客。
「かわいい!」
「キモイなぁ」
「かわいかったよ!」
「キモイって言ってるでしょ!」

ははは、これは手厳しい。嬢が客をほめるのは簡単だが、客が嬢をほめるのは難しいな。
そこへ、オレンジ色の雨女さん帰還。

しかし、知り合って半年、いろんなところへ遊びに行った相手なのに、コスチュームひとつでこんなにも距離感を感じるものだろうか。
061031_23400001無論、この人にも女性的魅力はある。ほとんど脊髄反射的に「かわいいヤツめ」と思わせるところがあり、本人に「オイ、今の言い方は(男を落とすのに)使えるぞ!」と指摘してやることもある。
それは現実の女性に対する“萌え”なんだろうね。“萌え”と“惚れ”とは違うんだな、とこの人を前にしていると思う。『宮本から君へ』第五巻33ページの「あなたを な……なんかいいなと思いました!!」というあれ。あれは“惚れ”ではなく“萌え”だ。恋愛以前の原始的で無責任な可愛がり、とでも言うのかな。オタクの恋愛が発展しないとしたら、それは安全圏で“萌え”つづけているだけだからじゃないかな。
カメコ的視点でいる限り、そりゃ進展も後退もあるまいよ。歓喜も絶望もな。

ちなみに、数日後が雨女さんの誕生日だったので、俺は山のようなプレゼントを抱えていった。
061031_19510001そして、誕生日を前に雨女さんは「メイドのコスプレに憧れていた」という幼くささやかなカミングアウトをしたのかも知れない。それに対して、あまりに冷ややかに接しすぎたと反省し、今日になってからお詫びのメールを送った。すると、「プレゼントの入ってた袋のヒモに足をひっかけ、みんなの前で転んでしまった」という返事が……その路線を歩み続けるかぎり、確実にオタクの彼氏が出来てしまうぞ。
俺は「オタク同士の結婚」という落としどころだけは絶対に避けようと努めたからね。まあ、その結果が離婚では説得力ないか。

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