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2006年10月29日 (日)

■理想の帝国■

ジョージ・ルーカスは映画監督ではない。「スター・ウォーズ妄想業」である。それに気がつかない人は「ルーカスには演出センスがない」などと言うが、妄想業なので演出の才能は不要なのである。
061029_18040001いくつかのドキュメンタリーを見ると分かるが、ルーカスは撮影現場が苦手だ。NGテイクやアドリブを積極的に使った「映画」として唯一の傑作『アメリカン・グラフィティ』ですら、俳優とのミーティングを嫌がったという。
その非社交的性格ゆえ、現場で孤立してしまう『スター・ウォーズ』撮影時のルーカスには、たまらない親近感を覚える。
その『スター・ウォーズ』第一作からして、ルーカスの手前勝手な妄想癖は全開で、二体のロボットが砂漠を放浪するシーンのシュールさと来たら……最近になって第一作を見て「つまらん」と一言ですませた若者がいたが、非常によく分かる。観客の“対映画生理”は時代とともに変化していくし、第一作には、まだアメリカン・ニューシネマのダウナーな空気感が残っていたと思う。
“不朽の名作”ってのは幻想だよね。その瞬間だけ愛され、時代とともに忘れられていく作品の方が幸福な気もする。

何より心を打つのは、『ジェダイの復讐』が大ハッピーエンドで終わったのに、ルーカス本人は離婚しちゃうところだよね。
061029_18070001(←実はハリソン・フォードも二回離婚しているが、ルーカスとは対照的なモテ離婚だからね)
ルーカスの元には養子のアマンダが残り、以降、ケイティ、ジェットと養子を迎え、男手ひとつで育て上げた。ルーカスは家族という名の帝国を築き上げたかったのだろうね。新三部作で一家全員がカメオ出演しているのは微笑ましいどころかうざったい限りだし、どこかいびつな愛情を感じるんだが、そうでもしないとルーカスの理想の帝国は完成しなかったのだね。
父親のいないアナキンがパルパティーンという“義父”に命を救われ、ルークとレイアがそれぞれ里子に出される新三部作のラストシーンは、なんとも痛々しい。血の繋がった親子関係が一切ないんだ。試写を観てルーカス本人が泣いたという話も何となく分かるような。彼は、言い訳は出来てもウソのつけない男だったんだ。

だから、俺が言いたいのは新三部作をダシにルーカスをいじめるなよ、と。あれは、映画に非常によく似た、別のメディアなんだ。

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2006年10月27日 (金)

■全員偽善者です■

シャア名言集みたいな本なら、かつて俺も書いたけど、今更ながらゾーンダイクに酔う。
061027_04390001「きみたちの世界。こんな世界を私は認めない。絶対に。NOだ」
「私も今のきみのような感情に駆り立てられたことがあった。なぜ、と問いかけた。正体の見えぬものに向かって。だが、後に残ったものは虚無と嫌悪。私もやつらと同じだ。己への嫌悪。NOだ」

『青の6号』を最終巻から順に観ていく。確信犯的なアンチ・クライマックスの構造が見えて、実に味わい深いよ。

所用で中野まで行くと、風邪のぶり返しでフラフラとなる。ブロードウェイ二階の「こいけ」でスタミナ定食を注文し、栄養ドリンクを買ってTSUTAYAに寄って帰宅。
061027_03400001(←うっかり買ってしまったショップ限定カラー。何のキャラか知らないが、やはりモノトーンは難しい。色が造形の硬さを強調する結果になってしまった。胸のリボンなんて、でっかい蛾がとまってるみたいだよ)
さて、こんなフィギュアに囲まれて、来年40歳になる童貞じゃないけどバツイチの俺が観なくてはならないDVDときたら、『40歳の童貞男』しかないじゃないか。ちなみに、あれだけ話題になったくせにTSUTAYAでは一枚も借りられていなかった。

先日、うっかり「高齢童貞が後押しした」などと書いてしまったが……これ、みうらじゅんが特別宣伝プロデューサーなんだ。かなり失望したね。『D.T』の著者が、こんな程度のものを……というか、この映画に「絶賛コメント」を寄せている及川奈央、杉本彩、ダンディ坂野、松村邦洋、小田原ドラゴン、あなた方は全員偽善者です。「別に童貞でもいいじゃないか」と言いたいんだろうけど、高齢童貞は明らかにコンプレックスだろ。だから、それを無理やりに捨てさせるストーリーになってるじゃん。その矛盾に気づけよ。
061027_05170001で、この映画のヒット要因って「こんなタイトルの映画を堂々と観に行っちゃう俺(私)たちって、ちょっと垢抜けてない?」って優越感だろうね。俺も先日閉店した店の子に誘われていたから、危うく“そちら側”へ行くところだった。映画自体は「ヤッちまえば勝ち」という古典的なガハハ映画ですよ。
いざ童貞喪失の段取りになって、「待て、大事なフィギュアが潰れる」「そんな人形の方が私より大事なの?」という『ブリスター!』そっくりのやりとりがあるんだけど、フィギュア好きの情熱のためにプライドまで踏みつけられる『ブリスター!』の(おそらく童貞の)ハサモトくんの圧勝。

俺が童貞だった頃、といえば押井守演出の『ときめきの聖夜』で『うる星やつら』にクラクラになり(押井守演出の、と断るところが姑息だな)……「女千人斬り」を誓ったはずのあたるが、「クリスマスの夜、手をつないで歩く」という童貞ドリームを望んだから一気に感情移入したんだと思う。
061027_13430001でも、それは俺がロマンチストだからであって、童貞だったからじゃない気がする。というより、普通の大人だったら、こんなアニメのことなんか思い出しもしないよ。オタクってのは結婚しようが離婚しようが童貞なんだ、きっと。で、アマゾンのレビューで『ときめきの聖夜』の感想をクリスマス・イヴに書いている人がいるんだけど、なかなか心憎い演出だと思わないか?

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2006年10月25日 (水)

■放蕩24時間■

昨日午前中、折からの風邪でF誌の商品撮影立会いを中止。その癖して、夕方からふじもと氏と飲みに行く。さくらやホビー館で、「これは出来いいっすよ」と薦められ(おだてられ?)『ヘルシング』のセラスのフィギュア購入。061025_16150001確かに軍服のエッジが立っててシャープな仕上がり。彩色もいい。
「しかし、なんでこんな安売りしてんの?」
「左手が変形してるからでしょ。奇形的なものは嫌がられますよ」
俺もふじもと氏も、おそらく造形だけしか見てないから、そんなことはお構いなしなのだが、世のフィギュア萌え族は潔癖症なのだろうね。例えば「リラックマ、可愛い」というマスコットを愛でる感覚が彼らの萌えなのかも知れない。これなんか完全にマスコットだもんね。

その後、24時ぐらいまで痛飲する。
この人と会うからには避けて通れない話題、と勝手に決め込んでいたUCハードグラフの話。あれは要するに、ミリタリーSFの模型でしょ。オリジナルSFメカというジャンルでしょ。でも、いまやオリジナルSFメカなんてガンダムを「原作」にでもしないと成立しないのだね。ガンダムが「原作」でありさえすれば、『MS IGLOO』なんかも出来ちゃう。逆を言うと、ああまで多様な解釈を許し、デッドコピーも含めて肥大化して、オリジナル企画だったはずのガンダムは、いまや「原作モノ」になったんだよね。『ウルトラ』『ライダー』も強いけど、ことアニメと模型ではガンダムに勝る「原作」はないから、新しいことをやろうと考えると「ガンダムでいこうぜ」となるんじゃないかな。
例えが古いけど、『Bクラブ』に掲載された高橋良輔監督の企画書『ステルス・ワイズ』では登場メカの名前が「モビルスーツ」と書いてあって……もちろん仮称としてなんだけど、「ガンダムっぽいアレ」という感覚は今でもあるよね。ふじもと氏から 『ゼーガペイン』を強くオススメされるが、ガンダム成分がないと作品が優れていても大ヒットは望めないんでは。『エウレカ』は「ガンダムのパクリ」とか言われて、それなりに話題になったじゃない。

新宿から三鷹まで直帰の予定が、吉祥寺の雨女さんの店へ。風邪で仕事キャンセルしたその夜にキャバクラかよ。もう死んでいいよ。と、我ながら思う。
061025_04510001客は俺をのぞくと一人。50代自営業って感じ。熱心に嬢を口説いていたが、今どき珍しいヤツめ、と思う。どういうわけか激烈に安くすんだ(セット料金値下げ?)ので、雨女さんの友達と3人で早朝焼肉。おいおい、風邪はどこ行ったんだよ。

二日酔いで目覚めると、雨女さんからのプレゼントが鞄に入っていたのに気づく。
061025_15560001 どうしてスプーンなのか、というと切実な理由があるのだが、それはまぁ書くほどのことじゃないんだけど、何の連絡もせずにフラリと店に行ったのにプレゼント用意してあるとはさすが。

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2006年10月24日 (火)

■何に向かってるんだろうね?■

昨日は雨の中、銀座の東劇ビルへ『幸福な食卓』の試写。
061023_14560001映画としちゃ凡庸だね……。北乃きいちゃんを「子役」として扱わなかった良心と、きいちゃん本人の実力が印象に残るばかり。
そもそも、小松隆志監督って、俺らの世代でいえば『いそげブライアン』、つまりPFFの人だったはず。それが、こうまで大人しくなってしまうのか。へぇ、そういう勝ち方もあるんですねぇ、と他人事(そもそも、戦う相手がいないと勝てないわけだが)。
帰宅後、DVDで『パンチドランク・ラブ』。こっちの方が断然、俺の気分に近い。 人間、自分のつかんだ幸福を守るためには暴力も辞さない姿勢が大事です。
処世術に長けたやつの映画は面白くない。そういうことだな。

先日、松本州平のことを書いたけど、「こうたやめた音頭」ってのもあったよね。「この模型、買った!」と決めたのに、「やっぱやめた!」と棚に戻すという逡巡。あれを今、ネットでやってるのが俺。メカ物(スター・ウォーズのスタチューとか)は注文してはキャンセル。萌え系は買いのがすと、のちのち2倍ぐらいの値がつくのでキャンセルしない。
ほら、『スター・ウォーズ』はみんな買って残すし、世界中に大金持ちのマニアがいるけど、萌えフィギュアなんて“思春期アイテム”は個人にとっちゃ通過点でしょ。
萌えフィグの黄金時代をプレイバックしたいとき、メーカーにも在庫がないなんてことになったら、困るからね。だから、やっぱり萌えフィグに博物学的興味があるんだと思う。
Java←筆者高校2年生のときの造形作品。現在はアメリカのコレクターが所有しているらしい)
だって、萌え系に関しては「ショップ限定カラー」にまで手を出しちゃったからね。それは色がきれいだから予約したんだけど、将来、博物館に飾られたときをイメージしているのは確か。

今日は、もう一ネタ。このブログはなぜか女性も多く見ているらしいので書きにくいのだが、SPAMメールが必死にセックスを奨励する理由。みんな、ヤらなくなったんだよね。『40歳の童貞男』のヒットは高齢童貞が後押ししているからでしょ。セックスレスのカップル、夫婦はざらにいるしね。今のSPAMは「セックス+お金」が多い。つまり、騙される側も「金でももらわないとセックスしねーぞ」ってことでしょ。ちょっと前まで、金払ってセックスしたがってたはずなのにさ。もう『ラブ&ポップ』は成立しないよ。あのオヤジの情熱は、じゃあ今、何に向かってるんだろうね? 援交どころか、セックスって文化は“流行り物”だったんじゃないかとさえ思えてくるのは俺が39歳だから?

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2006年10月22日 (日)

■好感度アップ!■

「フィギュア王」 105号 24日発売!
105
●トクダネ情報002
「アトムへのピュアな愛情が、ブリキ玩具を黒く塗る」と題して、デザイナーの大矢寛朗さんを取材。アーティストがキャラ愛を発動させるとロクなことにならないのは村上隆が実証したが(過去形)、大矢さんは金儲けでも売名でもないのでね。とっても無垢な愛着。

●ピュグマリオンの小部屋 ドール最新情報
新しいおでこちゃんは、偶然にも花本はぐみさんにソックリ。かわいい。

●Toy's NEW ARRIVAL
アニメ作品との関連で新製品を紹介するToy's VIEWは『コードギアス 反逆のルルーシュ』。フィギュアも美少年モノが多くなるかも。
そして、メーカーさんへのスペシャルインタビューは株式会社フェバリットだぁ! 紹介してくれた石垣純哉さんの推薦文もアリ。お世辞じゃなくてホントに良心的なメーカーさん。まず申し込んでから到着までが猛烈に早い。あと、ギッシリと詰め込まれた緩衝材は「燃えるゴミ」として捨てられます。上質なのは商品だけじゃないのだ。
さて、萌えフィグの紹介文だが、悩んだ末に「ムチピタな美尻も再現ずみなので殿方も安心だ」とか、そういう文体に落ち着きました。
061022_17050001あと、美少女単体ではなく、メカと組み合わせる(メカ娘とかじゃなくて、バイクに乗っているとか)スタイルが増えたのが意味深だと思った。 女の子単体ではふり向いてくれないユーザーを、メカとセットにすることで開拓できるかも知れない。

そうそう、model f plusのふじもとさんから教えてもらった、プラモデル・ラジコンショーの徹底レポートを見て驚いた。
タカラトミーから「それゆけ!女性自衛官 海自むすめ 」、アオシマから「スカッとゴルフ パンヤ」といった女の子モノフィギュアが出ること。ハセガワの『バーチャロン』の新作プラモは女性型ロボットのフェイ・イェンだしね。萌え本ブームもそうなんだけど、はじめに萌えありきじゃなくて、「困ったら萌え」なんじゃないか。
061022_17070001←これもメカと女の子? やまとさんのハチクロ)
失礼を承知で言うと、「ウチは不健全図書なんか置きません!」と胸を張っていた老舗の本屋がBOOK-OFFに押されて「やっぱり、エロ雑誌の一冊や二冊ぐらい」と妥協するのに似ている。しかも過激なフィギュアで模型業界をアッといわせるんじゃなくて、自衛隊だとかオンラインゲームだとか、ソフト路線で安パイ拾ってるよね。
だったら、警察署の「一日署長」や地方駅の「一日駅長」と変わらん。あれだけ理解の困難な概念だった“萌え”は(ホビー業界・出版界では)、いまや好感度アップのツールにまで劣化したわけだ。どうせ萌えるんなら、本気で萌えよう!

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2006年10月21日 (土)

■アンタが書いたんだアンタが!■

mixiのコミュで教えてもらった情報なんだけど、ついに『ガンヘッド』DVD、来年2月に発売!
061021_14440001しかも、特典は“あの”サウンドトラック・アルバムだというから凄い。せっかくなので、メガ80's時代のコンテンツ、Club“Bバンガーズ”をリンク。ちなみに、僕が最も“粋”に感じた『ガンヘッド』の感想文は、カフェモンマルトルさんの記事だ。映画に接するスタンスのラフさがいい。
この映画の魅力は、観客の期待する要素(二足歩行ロボットのアクション、分かりやすいストーリー)をハズしたうえで、セリフやカッティング、音楽といった期待されなかった部分でアピールしたこと。こないだ書いた、「ダサい作品をダサいなりに楽しむ」のとは、ちょっと違うな。映画としての完成到達点が、予想外のところにあったという“発見感”が気持ちいいんだ。
だから、自分で魅力を発見できない人間には、何も与えてくれない映画だと思う。
かなり前にセカチューのこと書いたけど、映画ってのは8割がテクニック。泣かせ、笑わせ、怖がらせの技法は誰にでも覚えられる。残り2割に予想もしなかった要素(『セカチュー』の場合は長澤まさみがキレイに撮れてたこと、まあ、カメラワークってことかな)が侵入する。それが実写映画の面白さなんだ。その2割を発見するために、俺は映画を観るのだ。

さて、昨夜はイベントのコメント撮影のため、駒沢のタレント事務所へ。
061020_18410001出演してくれたのは『スピードマスター』の北乃きいちゃん。なんとまだ15歳(しかも誕生日が俺と一緒)。後から監督宅で編集中の『スピードマスター』の一部を見せてもらったけど、この子は女優だね。あんまり水着になんかなる必要はないんではないか。来年は『幸福な食卓』、『スピードマスター』と二本も映画が公開されるから、ちゃんと評価されると思うけどね。俳優ってのは、頭がよくないと出来ない。一瞬一瞬に物語をつむいでいくのが俳優という仕事。『スピードマスター』の断片を観ただけで、それが非常に感じとれたのよ。みんな、ブログも読んであげてよ。
と、そこまで誉めておきながら、事務所の人に「僕、たいていの女優さんは好きですから」と失言してしまう。
いや、失言じゃないな。頭脳と肉体の両方を使う職業だから、女優は素敵なんだ。

その後、須賀監督が眠いというので、渋谷のキャバで一人夜明かし。狭くて高くて混んでいた。
061021_03570001「肌がきれいで、うらやましい」と言われるが、俺は来年40になるオッサンなので、あんまり嬉しくないぞ。

そうそう、『スピードマスター』はまだ完成していないが、俺の書いたセリフの数々を内田朝陽さんが完全に自分のものにしていて、「今のセリフってアドリブ?」「違うよ、アンタが書いたんだアンタが!」と須賀監督に笑われる。これにはちょっと感動。内田朝陽さんにお礼を言いたいぐらい。あ、北乃きいちゃんには「北乃さんの最後のセリフって俺が書いたんだよ!」と自慢したけどね。

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2006年10月19日 (木)

■白いワニ度■

061019_16310001多分ねえ、「フィギュア王」103号で富野監督が「(西村)キヌさんの描いた絵をそのままフィギュアにしたものがありましたが、あれは素敵でしたね」と語っていたのは、これじゃないかと思うんだけど。
このフィギュアの唯一の欠点は、「セクシーですね」「エロいですね」と一刀両断されかねないところ。「おいおい、こりゃマンガだよ!」というウソっぽさ、「痛さ」がないと、どうもフィギュアってのは現実を凌駕できないんではないか(でも、携帯のわりには良く撮れてるでしょ)。

80年代に「ホビージャパン」誌のミリタリーのコーナーを読んでた人なら、松本州平の名前に覚えがあるはず。「やっぱ、プラモっつーもんは改造しちゃアカン! ダサいプラモならダサいなりにそのメーカーのダサい味を楽しむべし!」という主旨で作例を発表し、資料偏重・工具重視のミリタリー界では異色の存在だったんだけど……俺が今でも映画などを見るとき、「その作品のダサい味を楽しむ」スタンスがきっちり備わっているのは松本州平の影響じゃないかと思う。だって、実写版の『キャシャーン』とか『鉄人28号』とか大好きだもん。『ガンヘッド』好きなのも、それに近い。『スター・ウォーズ』新三部作もそう。明らかにダメでしょう、あれは。
「痛点」を見つけたときに、その対象への愛に気がつく。それはフィギュアでも映画でも人間でも同じだね。

・某誌から、フィギュア特集のデザインが上がってくる。なに、この充実ぶり。俺が適当にラフに書いた注文を編集氏とデザイナー氏がここまで可愛くしてくれるなんて……こりゃ反響が楽しみ。

・連載のひとつとなった「EX大衆」誌の「妄想ポエム館」、担当氏から「もうちょっと普通に」と言われ、思わず「今月は普通だったじゃん!」と返してしまう。が、十分にキモいらしい。アニメヒロイン特集を目当てで買った人、マジでキモいかご確認のほどを。
061015_04050001(←これがアニメヒロイン特集。ひばりくんには「白いワニ度」なんていう項目も)
やっぱり、どんなに糊塗しても文章には生理が出ちゃうもんだからねえ……どうもガチで書いてるその姿勢自体が「キモい」らしい。ハードル高いな、おい!

・5月と8月に行ったきりの八王子の某店(店名失念)のキャバ嬢から「今、王子バーに来てます!」とメール。どうでもいいが、王子バーの影響か宝塚に興味が出てきた。

・雨女さんから自宅PCにメール。「携帯がトラックにひかれて、ペシャンコです」って、お前、そんなドジっ子だからオタクにもてちゃうんだよ! 友達はともかく、俺以外の顧客のアドレスはどうすんだろう。

・明日はイベント用素材を収録に、ある芸能プロダクションへ。プララジ・ショーは見送りです。

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2006年10月18日 (水)

■イベント告知とハサモトくん■

『B』(1997)で劇場映画デビューし、伊藤英明主演の『ブリスター!』(2000)で数多の賞を受賞、その後も『恋文日和(雪に咲く花)』(04)、『最終兵器彼女』(05)とコンスタントに作品を発表しつづけ、来年は『ROBO☆ROCK』『スピードマスター』と2本の公開を控える映画監督・須賀大観を招いて、トークイベント開催!(司会は性懲りもなく俺)

……といっても日時は2007年2月17日(土)とちょっと先なんだけど、とりあえず公式発表。場所は、おなじみ新宿ロフト・プラスワンです。
ゲストは『ROBO☆ROCK』と『スピードマスター』から鮎貝健! グン! デニス・ガン!
228_1 (←2001年2月のイベントより、俺とグンさんの貴重な2ショット。チェキで撮ったのをスキャンしたから画質悪い)
他に、阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一郎さん、田中圭さんに現在交渉中。
ビデオコメントは声優の大塚明夫さん中村俊介さん、北野きいさんをはじめ、5名が内定。まあ、現段階で発表できるのはこのへんまでかな。

『スピードマスター』は、もういろんなところに情報が出ているし、俺もシナリオに参加したので大体は把握してるけど(出演は中村俊介、内田朝陽、北乃きい、中山祐一郎、蒲生麻由、大友康平)、謎に包まれているのが『ROBO☆ROCK』(出演は塩谷瞬、鮎貝健、デニス・ガン)。GONZOの村濱社長のブログでは初号試写が行われたそうだけど、当初は『ロング・アームド・モンキーズ』と呼ばれていたGONZO初の実写作品。
最初に『ブリスター!』のイベントやったときってのは、事前に作品を見せてもらってて、試写会にカトキハジメさん招いたりしてたぐらいなので準備万端だったんだけど、『ROBO☆ROCK』に関しては、俺もイベントで情報を知ることになりそう。

最近、萌えフィギュアを集めようと決心したのは、DVDで『ブリスター!』観なおして、邦画史上最もリアリスティックなオタクキャラ、ハサモトくんに感情移入してしまったから。
Rogo_sml 彼も仲間を軽蔑するようなポーズをとっていたけど、オタクって何でヒエラルキーつけたがるんだろうね? オタク第一世代、第二世代とピラミッド構造で年寄りが偉いことになってたりさ。リアルタイムで古い作品を観たことがステイタスになってる、とか。マイナー作品を知ってる人が尊敬されたり、とか。まあ、昔に比べて知識自慢・(収集物の)所有自慢するオタクは減ったと思うけどね。
で、なんで仲間内でヒエラルキーを導入したがるかというと、オタク趣味ってのが社会的に低いところに置かれてるからだろう。ただの意趣返しだよ、卑屈なこった。
「何がアートだ! アニメだけは例外か!」と叫んだハサモトくん、その通りだよ。“Go my way on the rack”(『ブリスター!』主題歌より)、痛みとともにわが道を進め!ってことだ。

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2006年10月16日 (月)

■日曜日、最前線で■

日曜日、吉祥寺東急のオモチャ市に行ってきた。
061015_15360001まあ、古本屋がよくやる雑本整理みたいなもだろうね。ウォーズ物(スター・ウォーズのグッズを俺は「ウォーズ物」と呼んでいる)で面白いものが2~3あったけど、店員の態度がデカいので素通り。で、日曜だからアベックも多くてさ。
「これ、いくらですか?」
「店、いつまで開いてるんすか?」
と大声で店員に聞いた後、彼女に向かって「いや~、俺、こういうのに目がなくてさぁ!」ってウソつけ。その場で即席オモチャ・マニアになりやがって。
まあ、オモチャも時と場合によってはモテ・アイテムに格上げされるという好例だな。マニアのためだけにつくられるオモチャなんて比率から言ったら少ないだろうし、オモチャにとってもラッキーなことなのかも知れない。

その前日。 「24時間映画祭」のリアルタイムで進むブログが面白くて、徹夜で原稿打ってるはずなのに、そっちを覗く時間の方がはるかに長い、という。
061015_16240001(←写真は吉祥寺PARCOでやってた『鉄コン筋クリート』展の一部。コンテやイメージボード、キャラ表もあった! 大画面でもう一回観るぞ!)
本当は俺も運営委員に加わっていたのに、ブログが始まって「あ、スタートしたのか」と気がつく体たらく。でも、撮影のため深夜の都会を駆け回り、どうでもいい写真を意味不明のコメントとともにUPしていく様子が学園祭みたいに楽しくてなぁ。俺自身は自主映画は二度とやらないだろうけど、あの現場のガヤガヤした雰囲気……あ~、やっぱりVシネマの現場とか思い出しても好きにはなれないな。でも、「勢い」とか「熱さ」って人間の根本的な部分から湧き出るものだから、それを垂れ流しにすることなく、こうやって形にしていく彼らが美しくてね。
彼らは、ただ当たり前のことをやっているんだ。人間という動物の性(さが)として。だから、美しい。
正直、ブログを見ながら涙すら浮かぶ始末。

涙といえば、日曜日はひさびさに吉祥寺まで歩いてみた。途中、泣きながら歩いている女の子が二人もいた。一人は携帯で話しながら泣いていた。もう一人は、買い物袋で顔を隠しながら。いいね。現場で戦ってる女の子ってのは。
そんなことを考えながら、オモチャだらけの六畳一間へ帰還。ここが俺の現場かよ……とウンザリしたところへ、「あなたの今書いてる小説、出版と同時に映画にしませんか?」というウソのようなお誘いが来た。間違っても文芸社からじゃありません。

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2006年10月14日 (土)

■捨てても燃やしてもダメ■

「EX大衆」 11月号 明日発売!
Ex_11
●70~90年代 絶対美少女主義! アニメヒロイン大百科
クラリス・ド・カリオストロ、小山田マキ、峰不二子、アクビ、白鳥のジュン、岬洋子、キューティーハニー、上月ルナ、森雪、ドロンジョ、メーテル、セイラ・マス、マチルダ・アジャン、エル(浅丘夏美)、森沢優、来生瞳/泪/愛、朝倉南、大空ひばり、速水ペルシャ、香月舞、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー、ケイ&ユリ、鮎川まどか、以上24キャラを5ページにわたって徹底解説(一部妄想入り)。
もう書いても書いても終わんなくてさ。「エッチな魔法少女ベスト3」のベスト2までが魔法少女じゃないし、森雪の絵とセリフが合ってないし、満身創痍で書いたラストのコラムはそうとう痛々しい出来です(宮崎駿が白娘に惚れた話をこの雑誌に書くことになろうとは)。
しかし、非ヲタのはずの担当編集が「クリィミーマミとかあのへんも入れようよ!」「なんで『かぼちゃワイン』がないわけ?」と意外に熱心で、妙に“熱い”記事になった。
(この号は俺の記事だけじゃなく、有名人100人のアニメ好き特集とか『北斗の拳』語録とか、けっこうオタク濃度高し)

●アイドルのキス顔チュ! Vol.2 石井めぐる
今回から「妄想ポエム館」というサブタイトルがついた。広場で女の子と野球やる、ってシチュエーションはもちろん『時かけ』です。もう2次元でも3次元でも2.5次元でも何でも書くよ、俺は。そこに愛と妄想さえあれば。

さて、現実の話でもしましょうか。雨女さんが仕事帰りにストーカー被害にあっているという。「ネコミミでも付けて歩いたら、ストーカーも引くかもね」などと軽口を叩くので、バカ! 相手がヲタだったら思うツボだぞ!」とけっこう本気で返信する俺。本人いわく、「アキバ系にはモテる」らしい。俺は雨女さんを恋愛対象として見てはいないけど、根がヲタなだけに、しばし自分を振り返った。

結婚しても離婚しても、DNAがヲタなんだよ。秋葉原って街は肌に合わないけど、でも今さらながら『ダンバイン』のチャム・ファウには萌えるし(話変わるけど、 『ダンバイン』のOPは凄い完成度だよね。ひさびさに見てエフェクト作画が素晴らしいのでピックリ。ワイプ代わりにチャムがFr.Iするタイミングも絶妙)、深夜アニメは目覚ましかけてまで観るし(『コードギアス』ってのはクリフハンガー(連続活劇のこと)だから、最後に伏線消化しきれなくても毎週ああいう終わり方なら俺は楽しめるよ)……って、好きな話題になると抑制がきかない人。引き際が分からず、いつまでも話を引っ張ってしまう人。いるでしょ、そういう人。
ヲタってのは趣味・嗜好ではなく、生理だ。だから、隠しても隠し切れないものなのよ。ただ、周囲にとっては迷惑なことが多いから、隠す努力はした方がいいよね。

よく「オタクやめます」って宣言して、集めた同人誌を燃やしちゃったりする人がいるようだけど、それでは解決にならんよ。
Ca270052(←こういうのがあると持って帰ってきちゃうんだよねぇ…青山景・画)
生理ってのは「生きる理」だから、そりゃ捨てたり燃やしたりは出来ないって。でも、どんな子供でもやがてはオシメが取れるように、訓練次第でコントロールは出来るはずなんだ。
そういう「自分を何とかしよう」って努力をしないヤツってのは、人間失格だから俺はキライ。
(読売新聞夕刊で中川翔子の連載が始まったが、写真がぜんぜん良くない。隠し切れないものを、写真というのは時に写してしまうものなのだね)

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2006年10月12日 (木)

■僕はスピードのぬいぐるみを着て■

「マスコミ就職読本2008 4」 発売中!
Mas_4
●プロダクションI.G 西村知恭プロデューサー、インタビュー
『攻殻機動隊SSS』のプロデューサーさんですね。218ページに出てます。

というか、フリーでペーペーの三流ライターの社会常識ゼロの廣田、お前が「就職読本」だぁ?と罵倒されそうだけど、ちゃんとアニメ会社に勤務していた実績アリ。しかもサンライズ。「アニメ企画を手伝ってくれない?」と誘われ、2.5ヵ月後に「どうも会社勤めは合わないようです」と言ってやめさせていただいた。ガキだったね。ライターになったのは、その一年後。それまでの一年間は何と映画やアニメの企画書執筆やプロット執筆だけで食いつないでいた。綱渡りもいいとこだよなぁ……。

さて、今日は午前中にSS社に営業しに行って、帰りにアキバへ取材。歩きつかれたので、メイドが肩揉んでくれる店でもないの?と彷徨っていたら、アキバ限定コスメの看板が。
Ca270057コスメか。言われてみれば、脱ヲタ・ファッションした若者たちをチラホラ見かけた。強烈な親近感を覚える。
先週、取材先で「フィギュア関連の取材だというから、もっとアキバな方かと思ってました」と同席した女性(美人!)に言われ、反射的に「いえ、中身はアキバ系っすよ…萌えフィギュア集めてますし」と嬉し恥ずかしのオタク特有の薄笑いを返したものよ。「電車男みたいっすね」と取材相手のデザイナー氏。「やっぱり倉庫とか借りて、100体ぐらい保管しているとか?」  いっそ、北原さんみたいに萌えフィグの博物館でも開くか?と本気で思った。三鷹の森あたりに。

ところで、噂に聞いていたようにアキバには確かに新しい人種が流入してきている。いかにもヲタっぽい女の子たちの中にキャバにでもいそうな(←すげえ偏見)、ちょっとケバい子が混じっていたり、高校生ぐらいの野朗のヤンキーが群れていたり。で、ヤンキーどもは何が目当てなのかとストーキングしていたら、ドンキに吸い込まれていった。なるほど。
061012_14270001 「忘れないでくれよ 誰もがみんな この星のひとかけらなのさ~♪」 BLANKY JET CITYの『青い花』の歌詞が脳内再生されるが、ヤンキーどもとは友だちになれそうもないな……あいつらには切実さがないから。

昨夜は、ロフトプラスワンの斉藤さんと電話でトーク。まず2月17日にイベントやるよ(内容は、まだヒミツ)。同時に、別のイベントを逆提案されるが、これも実現するとしたら3月ぐらい。イベント通いを推奨するぐらいなら、まず隗より始めねばな。

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2006年10月11日 (水)

■レセプターを増やそう■

や、やべえー! 先日「アニメはアニメだけでは終われない」と書いた矢先、『鉄コン筋クリート』観ちまったよ!
061011_22350001これは確実にアニメとして完結している。観た瞬間瞬間にカチッカチッ、と映像が役割を果たしていく充実感がある。「漫画のアニメ化」という意味では、ひとつの頂点。
しかし、あまりここで書くと記事にするとき困るし、主役二人以外のキャスティング(かなり驚愕の人選)はオフレコを厳命されたので、蒼井優について。
松本大洋の漫画といえば「男同士の友情」。でも、『鉄コン』のシロ役は蒼井優。もう俺は途中から「シロは女の子なんだ」と勝手に設定変えて観ましたね。そうすると、自然に「シロと一緒に暮らしたい」願望が生じて、身もだえするぐらいも萌えられます。音声のない漫画ではそうはいかないでしょ。紆余曲折の末にアニメ化されて良かった。
しかし、『時かけ』で大騒ぎしたと思ったら、こんなモノスゴイのが同じ年に公開されるなんて、すごい業界だよ、ホント。

さて、先日「アニメの“上がり”はDVD-BOXでは?」と書いたところ、さる業界の方から「著作権の問題はさておき」と前置きしたうえで「アニメの上がりはYouTubeで配信されること。世界中の人間が、国境を越えて好きなときに観られる。それがアニメの最良状態。僕らが小さい頃、アニメはタダで観るものだったじゃないか」との指摘が。
この意見も面白いけど、『ガンダム』を例にとると、「マイナー低視聴率番組が全国配給される」という事実そのものが歴史性を感じさせてくれたのよ。隣接したジャンル(この場合は劇場映画)の歴史に参加することを俺は“上がり”と呼んだわけ。でも、第一作を観て、「最初にガンダムが戦ったのは地球だよね」と真顔でいう人がいて、「え、そこから説明しないとダメなんだ!」と。
要するに、僕らにはアニメ特有のお約束やSF設定を受け入れるレセプターがあったけど、初めて「映画」として『ガンダム』に接する人たちにはレセプターがなかったんだ。
ところが、レセプター不要のアニメ、例えば今敏さんの作品なんかは逆にオタク受けが悪かったりしてね。「どうしてプロの声優を使わないんだ! ウケ狙いで有名俳優ばっか使いやがって!」と怒っちゃう人は、声優レセプターの刺激依存症。
で、『鉄コン』は色んな種類のアニメを受容する人にも、確実に新しいレセプターが必要になると思うよ。アニメを観たり「刺激を受ける」ことの目的は、レセプターを増やしていくことにあるのかも知れない。人間的成長ではなく、「生物として完成されていく」ことも映像を観る目的のひとつなんじゃないかな。

さて、六畳一間の我が家に実物大の始祖鳥がやってきた。
Ca270056いいですか、1/1ですよ? なのに1万円もしない。そろそろ、こいつら用の棚を買わないと、部屋がムチャクチャになるな……

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2006年10月 9日 (月)

■映画化決定!■

「オトナアニメ」 Vol.2 明日10日発売!(←本屋さんが言ってた)
Ot2

●オレたちのスーパーロボット大逆襲20
『マシーンブラスター』 『ガ・キーン』『ゴーバリアン』『ゴッドシグマ』『ゴライオン』『グロイザーX』『ギンガイザー』…の解説を書きました。
「僕、多根清史さんのファンだから、多根さんのお手伝いが出来れば、それでいいですよ」と伝えたら、本当に手伝わせてくれた編集部に感謝します(多根さんのファンというのは本当なので)。

で、メイン特集の『時かけ』が、すでに僕の脳内でエイジングしつつあることに恐怖を感じ、当日のことを思い返してみると……一緒に観に行ったアヤノ(24歳)が「あの後、二人はどーなったんだろーね」と脱力する感想をもらしていたことを思い出したのだった。
俺は「おい、細田守の代表作を観たんだぞ! アニメ史に残る傑作だぞ!」と叫びたいのをこらえて、その後、朝までカラオケしたわけだが、その子の「アニメ史」って、せいぜい『エヴァ』までなんだよね。で、『エヴァ』までは「テレビシリーズの“上がり”は映画化。映画化されればアニメ史(ひいては映画史)に残るから」、そんな気分があったよね……というか、「歴史に残そう」という意志が感じられた気がする。特に 『ガンダム』とかは。
いま、『遥かなる時空の中で』が公開中だけど、この映画化が果たして「上がり」なのかというと、ファンサービスだろうね。

『創』でラノベ原作アニメの記事を書いたとき、どうしても『灼眼のシャナ』を取り上げるべきだと思った。U局放送なのに映画化されるなんて「歴史に残るってことでしょ!」と俺が勝手に盛り上がっていたからだが、歴史に残んないといけないのか、映画化決定すると?
Ca270049(←『ZⅢ』の試写会では、こんな紙が配られてたっけ…)
『シャナ』がどういう映画になるかは分からないけど、「映画化」ってファンサービスの一環だよね。『Z』どころか、初代『ガンダム』の映画版ですら、アニメを観ない友だちには「何がどういうストーリーなのか、サッパリ」と苦笑されたもんだった。もう『ヤマト』『ガンダム』の頃から劇場版アニメの中身ってのはファンサービスだったんだ。
だから、実はテレビアニメの本当の「上がり」は全話DVD-BOXになること、個人の所有物になること。新しい媒体が出たら、今度はそっちでもソフト化。キリがないというか終わんない。
で、そんな風潮を否定しようとする歴史家的執念が『エヴァ』新シリーズからは感じられるんだけど、噂の実写化が達成されない限り、終わらないんじゃない?
だから、『デスノート』も『ハチクロ』もアニメ化に前後して実写映画化されてるんだと思う。出来は関係ない。アニメって、アニメだけでは終われないものなんだよ。

でも、ファンサービスとしてのアニメ映画化は大いに結構だと俺は思う。オフ会みたいな感じだよね。「おお、このアニメ観てたの俺だけじゃなかった!」という連帯感。それが得られるなら、中身はあんまり関係ないよ。
061006_16410001(←締め切り明けに、試写行ってきます。楽しみだ!)
アニメ観る作業って孤独じゃん。棚にDVD-BOXが入って終わり、なんて絶対に嫌だと、みんなどっかで思ってる。『トップ!』の合体劇場版なんて同窓会みたいなもんだと思うし、『時かけ』は10年後、20年後にリバイバル公開するだろう。DVDが出て終わりじゃないよ。 同じ場の空気を吸う、体温を感じるって本能みたいなものだからね。やっぱり「アニメはアニメだけじゃ終われない」んだよ。

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2006年10月 7日 (土)

■夷の地■

徒歩5分の場所にあったキャバクラ、本日閉店。原稿が山とあるので、唯一メールの続いていたネコパンチさんに「行けなくてごめん」と謝っておいた。
060512_04290001そうか。朝4時にあの線路下をくぐってマンションに帰る、ずぶ濡れのネコのような惨めな気分は、もう味わえないわけだ。
ネコパンチさんは、たまたまムーンライダーズの『ニットキャップマン』を知っていて、それで覚えていただけだった。ひどいことを言うと、はっきり顔さえ思い出せない。だから、店に行っても三度に一度ぐらいしか指名しなかった。王子バーに連れて行くと約束して時間まで決めておきながら、二日酔いでドタキャンしたことさえあった。
そんな捨て猫あつかいをしてきたのに、ネコパンチさんは「もし私がいなくても、お店に寄れたら寄ってね」と最後にメールしてきた。彼女は彼女なりに、自分の店を愛していたのかも知れない(※ところが、一ヶ月もしないうちに再オープンした。この業界ではリニューアルを「閉店」と呼ぶ)。

キャバクラは、女が男をだまして金を貢がせるところ、とよく言われる。数ヶ月で百人以上のキャバ嬢に会ってきたけど、あからさまに「どうしても相談したいことがあるので、今夜会いたい。ただし、お店で」なんて営業する「プロ」なんざ2~3人ぐらいしかいなかった。
060502_03230001そもそもだ。人間というのは、出会った瞬間にある契約を交わすのだろうと思うわけ。「こいつとは仕事以外では酒を飲まんぞ」とか「会うときは誰かと三人で会うようにしよう」といった具合に、第一印象で勝手にそれぞれが決めてるんじゃないの。その手前勝手な思い込みが「契約」なのであって、だから相手が「こんど二人でメシでもどうです?」と契約違反を犯すと、腹が立ったり戸惑ったり、あるいは面白がったり。
キャバでの関係だって、それと変わんないよ。本気で惚れられてる、惚れさせてると思ってる連中は精神的童貞、精神的処女。「金さえつぎこめばヤレるんだろ、そのために通ってるんだろ」と蔑む輩は、「練習さえすれば何でも上手くなる」と思ってるお子様だね。

いずれは吉祥寺の行きつけのキャバも店を閉めて(こないだなんか俺一人しか客がいなかった)、俺の安住の地は減る一方だろう。
061007_04100001でも、ゾーンダイクも言ってたじゃないか。「世界は滅ばない。ただ、変わるだけだ」って。

(ところでゾーンダイクの名前は、教育学者・心理学者のエドワード・L・ソーンダイクが由来らしい)

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2006年10月 5日 (木)

■ガンダム合体癖■

アニカン Vol.27 配布中?
Ca270048
●『妖奇士』 錦織 博監督インタビュー
やっぱりアニカンFREEに掲載でした。誤情報ながして、すみません。

どういうわけか、今日は渋谷のファッションデザイナーの事務所に取材。あまりに分不相応な雰囲気に、バツイチ40オタク(しかも萌えフィグとキャバクラが好き)は震え上がる一方だったのだが、その場に居合わせた女性(美人!)が「今度、35万円のガンダムが出るんですよね? どんな人が買うんでしょうね」と言い出したのをキッカケに、一挙に緊張がほどける。
「ああ、アレですか。アレは他に選ぶものがないような自称:マニアが買うのですよ、お嬢さん」とツウぶってみる。「だって、ガンダムを買っても責められないし恥ずかしくないし、みんな容認してくれるでしょ?」
でも、あの商品は四角いハリボテにしか見えませんよ? それでも話題になるってことはだよ、「35万円」に「ガンダム」が合体してるってことじゃないの? 飽くまで、“本質”は価格にあるんでは。

例えば、俺が事あるたびに「なぜガンダムでやる?」と首をひねっているUCハードグラフは、1/35ミリタリーミニチュア・モデルに「ガンダムが合体」した状態だろう。
061005_12540001 (←取材した事務所の机。別にガンダムを取材したわけじゃないよ)
先日、セクシャルなものは何にでも融合すると書いたけど、もはやガンダムも気がついたらそうなってたね。薬局に行ったら、髭剃りにガンダムが合体してるしさ。「俺は大人だけどキャラグッズが欲しい。しかも買うとき照れないものがいい」と迷ったら、そこにガンダムが合体して売っている。
萌え本がそうであるように、ガンダムを緩衝材として“かませる”ことで、本質に直接ふれなくても済むようになっている。それはそれで、キャラクターの賢い使い方だろうし、「ああ、ガンダムね。いいんじゃないの?」と許されるほど特権的な存在でもなくなったのだね。

間違っても、俺は「1/35の本格的ミリタリーモデルが作りたかったら、タミヤのMMから始めて、ちゃんと資料も集めろ!」などとは言わぬさ。しかし、「なんでもかんでも萌え萌え、うるせーんだよ!」とか言いながらガンダム髭剃り使ってるやつがいたら、容赦なく笑います。普通の髭剃り使ってから言え、と。

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2006年10月 4日 (水)

■ことの成り行きで■

ことの成り行きで、女性編集者のクボタさんと雨女さんとでメイド居酒屋へ行くことになった。あまりに業種が違いすぎる、この二人。
061003_2000000231_1 吉祥寺で缶ビール飲みながら待ってたら、雨女さんが「あたしも喉かわいた」と横からビールを奪い取って飲むという萌える行動を。
雨女さんはオタクに憧れる非オタなので、メイド居酒屋で働くことを真剣に考えていたが、俺はメイドたちのストッキングが一人一人違うことを発見して、ひそかに喜んでいた。これはつまり、自前のストッキングってことだろう。でも、アレですよ。カウンター席とテーブル席で温度差がありすぎだよ、FANCY CATさん。
やっぱ俺は3階の方が好きだな。くだんの王子はまたしても不在だったけど、自然と笑顔が出るもんね。

雨女さんは自分の店から呼び出しくらって退席したので、クボタさんとサシで王子バー。「アニメ誌の表紙ってそんなに駄目でしょうか? アニメディアは、対象年齢を考えるとあれでいいと思うんですけど」とクボタさん、さすが編集者というごもっともな意見。もうちょっと上の世代に向けの雑誌は、表紙を一考してはいかが?というのが俺の意見だからね。
なんかいろいろ誤解を招いている当ブログですが、「否定」と「肯定」オンリーで受け取る読者が多いように思う。別に「ブログでのレビューのためにフィギュア買うユーザー」を批判しているわけでも何でもないでしょ。俺自身がそうなんだから。
まあ、ネットでは無数の情報にアクセスするわけだから、オンとオフだけで読み分けるスキルも必要だよね。だから、俺は、あらゆる解釈を許す。でも、そんな俺を許さない人もいる。
萌えはミリタリーを許容する(島田フミカネ氏の仕事を見れば分かるでしょ)。でも、ミリタリーは萌えを許容してないように思える。だから、議論の余地をつくるためにも、萌え本ブームは大歓迎。雑多と混沌は文化の肥やしだよ。

さて、クボタさんが帰ったあと、僕は雨女さんのお店へ。
061004_002000013333酔っ払うと会話内容忘れちゃうので、携帯に打って自宅のPCに送る。「今のオタクの恋はメイドへの愛で成就か。アンミラの進化型か?」「竹本くん受け入れやすい。櫻井くんみたいなどーていならオーケー。木更津のナカではマスター、ウッチー」……まあ、櫻井翔の『ハチクロ』竹本役は童貞っぽくて良かったって意味でしょうね。しかし、キャバで助平なオッサンの相手しているせいか、あの雨女さんが童貞を「受け入れやすい」とは。希望を捨てるな、童貞諸君。

さて、その翌朝、ヤフオクで落札した萌えフィグが届いた。
061004_12310001萌えフィグには、形と色以上の情報がない。造形物として純粋なんすよ。 このフィギュアは下着のきわどさだけが話題になりがちだけど、シャドウに注目。キーになるカラーがピンクだから、衣装の白い部分にもピンクのシャドウが吹いてある。あと、チョイ見えしている背中にもピンクのシャドウ。だから、全体に統一感がある。髪と左手のぬいぐるみも同系色でまとめてあるしね。惜しむらくはベースがドピンクであること。濃いグリーンとか反対色で引き締めるという手もあったのでは? 
……ま、半分はレビューのためではあるわな。

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2006年10月 1日 (日)

■人にいえない趣味■

アニカンR Vol.3 発売中!
Ar3_1
●『妖奇士』 錦織宏監督 インタビュー
(アニカンFREEの方に掲載されるようです)
●『デスノート』 中谷敏夫プロデューサー インタビュー
●『ギャラクシーエンジェる~ん』 木谷高明ブロッコリー会長 インタビュー


いろいろと勉強になる取材だった。先日、「アニメは数があった方がいい」と書いたけど、現場の人たちは間違っても「2クール放映して、DVDが売れててくれれば終わり」なんて思ってはいないからね。それぞれ志もあれば、戦略もある。ただ、作り手の事情とは関係なく、U局でしか放映してないアニメまで追っかけるのは快感なんじゃない? 放映そのものがレアなわけだから。
『時かけ』があちこちで観られるようになって「いつでも観られるから、もうDVDでいいや」と言っている人がいたんだけど……誰だって、観てない相手に対しては「まだ観てないの? 面白いから、観たほうがいいよ!」と言いたくなるじゃない。相手より先に観られたという優越感は絶対ある。誰だってツウぶりたい。『時かけ』人気は、そんな優越感が後押ししていた部分もあるんじゃないかな。
060726_07250001(←『時かけ』を観に行った日、優越感に浸る私。詳しくはグレメカ最新号を参照)
逆に、「僕は『ゲド戦記』はパスします」というのも、ツウっぽく聞こえるんだよね。アニメ観るのにも、そういうスノッブな一面があるということだね。いい時代だ。
そういえば『トップをねらえ!』合体劇場版の試写会が昨日あったのに、日付間違えて行けなかった。他人より早く観て、優越感とともに報告したかったのに……

そんな失意の朝、つい先日注文したばかりのプテラノドンのスカルが届いた。
Ca270040このシリーズは造形が素晴らしいので、次号の「フィギュア王」でガッチリ紹介するよ。動物の骨ってのは、ホントに美しい。
でも、あれですよ。ヘビメタの人たちのドクロ愛好癖とは違うからね。あれは「とりあえず髑髏とか死とか言ってればカッコイイに違いない」っていう免罪符でしょ。耽美なこと言ってりゃ勝ち、背徳的なこと言ってりゃ偉い、みたいなさ。
まあ、俺の中に「萌えフィギュアと恐竜の骨格モデル、両方買ってる自分ってスゴくね?」という優越感がまったくゼロとは言いません。でも、俺が書いてる小説って、恐竜の背中に乗ったおねーちゃんが出てくる。乗馬を習ってたのも、その小説のため。そこまで行けば本物だろう。そんな小説書けなんて、誰からも頼まれてないんだから。
逆を言うと、趣味をホンモノにするためには、そこまで踏み込まないとダメなのかも知れない。

あんまり関係ないけど、昨夜、べろべろに酔っ払って帰って、目が覚めたら、ジョージ・ルーカスの伝記が枕元に。
061001_15330001もう俺はルーカスのファンじゃないね。「趣味:ジョージ・ルーカス」って感じ。だって、『スター・ウォーズ』本編より、メイキングでルーカスが右往左往してる姿を見てる方が楽しいもん。

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