■へしおったフラグ■
先日つい悪態をついてしまった「日経キャラクターズ!」の取材で、パルパティーン皇帝役のイアン・マクダーミド氏に会ったのは去年の夏。
イアン氏を5誌ぐらいの記者が囲んで、順番に質問していく形式だったのだが、最後に通訳の女性が言った。「皆さん、どうやら彼の好みのタイプばかりみたいですよ。朝なのに機嫌が良かったのは、そのせいなんです!」
その場にいたのは全員小太りの男ばかりで、痩せているのは僕だけだった。もし僕に男色の気があれば、イアン氏とお近づきになるチャンスだったと思う。
なんでこんな話をしたかというと、「ぺ・ドゥナと付き合うには、まず取材という形で会うのが一番では?」とシミュレートしたら、イアン氏の顔が思い浮かんだからだ。
ぺ・ドゥナの映画を見ていたら、なぜか無性に王子バーに行きたくなったので、メグロくん夫婦を吉祥寺に呼びつけて行ってきた。
まず一階のメイド居酒屋で添加物満載の料理に舌鼓を打ってから、三階のPrinceへ。お目当ての王子はいなかった。これで2回も会うのに失敗した。今は、そういう“流れ”なんだろうと思う。
ガックリして店を出ると、交差点のところで「いつもありがとうございます」と後ろから声をかけられた。よくよく聞くと、メイド居酒屋のカウンターで働いていた店員さんだった。私服だから分からなかった。俺がメイド狙いの客だったら、これフラグもいいとこですよ? 「ちょっとお茶でもどうですか?」という展開は無理にしても、「駅まで一緒に行きましょう」は大アリ。可愛い子だったんだけど、俺はキャバ通いのバツイチ中年のハゲ男なんすよ。だから、このフラグは俺のものじゃないと思った。実にもったいない。
こんな幸運もあるんだから、メイド系飲食店の子にマジ恋している野朗ども、可能性はゼロじゃないぞ!
昨夜は本田透さんの話題も出たんだけど、ご本人の写真を見ると意外にヲタっぽくなくてガッカリされるとか。俺の尊敬する根本敬さんも「女なんか構っていられない」と言いながら、写真を見ると実に男らしい。村崎百朗さんも目だけ見ると優しいんだよね。
今あげた人はオタクだけじゃないけど「ヲタとモテ」は、個人の柔らかい部分に接する問題だから、反発を招きやすいテーマだ。俺は17か18の頃が初体験だったんだけど、その相手からすら「髪型が気持ち悪い」とか「服が汚れていて臭い」とか、さんざん言われてました。俺の人生の中で、最もオタク濃度が高かった時期でもあるんだよ。
恋愛の実体験と脳内でのオタク嗜好は二重らせんのように付かず離れず共存しつづけるものじゃないかな。それが合致する瞬間というのは、40歳に手がとどきそうな僕でも味わったためしがない。ただ、何のコンプレックスもないイケメンどもよりは意義深い人生が待っている、それは間違いない。参考例として、僕の大好きな「RO ある恋の話」をリンクさせておく。
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コメント
初めまして、2週間程前ニュースサイトのリンクから飛んできて以降、気に入って毎日拝見していました。
seedからガンダムを知り、義務感から初代を観たりしたのですが、「過去の作品を見なくていい、今を楽しめ。」というお言葉に胸のつかえがとれました。
廣田さんのお話に良く出てくる王子バーにも興味を持ち
昨夜友達と行って来ました、そう昨夜なんです
夜7〜10時くらいに、男性二人女性一人の方達と
テーブルがお隣で、私が男性客のうちの一人のおじ様と向かい合う位置でして、内心あの頭は(失礼ですみません)もしかしてと思っていたのですが…
もし隣にうるさいオタク女子4人組が居たようでしたら、静かに過ごされている所をご迷惑おかけしました、勘違いだったら尚更申し訳ないです^^;)
投稿: いろ | 2006年9月24日 (日) 22時27分
■いろ様
はじめまして、いつも読んでくださってありがとうございます。
ひょっとしてモニターを見ながら「キラ、可愛いよね」と
言っていたグループですよね? よく覚えてますよ(笑)
女性のためのお店なので、本来は僕みたいのが行くべきでは
ないんでしょうけど……ついつい。
いろいろ改善点はあると思うんですが、CROSS KICHIJOJIには
頑張って欲しいですね。
ガンダムに関しては仰るとおりで、旧世代が「SEEDなんて、
ガンダムじゃない」と文句を言うのにウンザリしてたんです。
あそこまで支持を得た理由を考えようともしないで、
ひたすらケナすか無視するかでしょう?
昔はよかった、という愚痴はジジィの特権ではありますが、
少しも建設的じゃありませんよ。
ただ、若くても古いアニメを観ている人もいます。それは
それで、楽しむなり研究するなりすればいいのであって、
今、アニメとかオタク文化ってすごく豊かだと思うんですよ。
音楽とか文学と変わらないぐらい選択肢があるんじゃないかなぁ……
投稿: 廣田恵介 | 2006年9月24日 (日) 23時17分
やはりあのおじ様だったのですね!ピンクっぽいのを羽織ってたのが私でした
隣で騒がしくていてすみませんでした、おそらく廣田さんにとって腐女子というオタクはあまりなじみの無い物と思われますので、相当おかしな話に聞こえていたかと思います^^;)
オタクの文化と人(とモテ)を取り扱ったブログも好きでよく見るのですが、特に30代後半のいわゆる第一世代オタクの方考察には含蓄があり、唸らせられます。
しかし中には「オタク(またはガンダム)とはこうだろう、今のオタクときたら」と言う方も多く、廣田さんの意見にたどり着くまでにはSEEDを貶す人の方が自分よりきっと正しいのだろうと思っていました。
なので「ライブ感を楽しめ」という説明には今後も助けられると思いいます、感謝しています。
今後オタク文化がどうなるかは分かりませんが、溢れんばかりの深夜アニメ、ラノベ、メイド喫茶や王子バー、ネット、今この時恵まれているのは確かですよね!
ただオタクがオタクとして人目を気にせず堂々と話せる場というのは少ないので、王子バーや良質のメイド喫茶、是非長く続いて欲しい物です。
投稿: いろ | 2006年9月25日 (月) 01時15分
■いろ様
いえいえ、僕の業界にはオタクを自認する女性もいらっしゃるので、まったく馴染みがないわけでもないんです。
実は、僕が『SEED』をナメられない、と思ったのは取材でSEEDフェスティバルの会場に行き、女性ファンの熱気に圧倒されたからなんです(笑)
男のファンなんて、限定販売のガンプラ買っだけで帰ってましたからね。
だから、男というのは本当に融通がききませんし、変化に対する適応力が劣っているとしか思えません。
それと、第一世代オタクというと僕よりちょっと年上なんですが、とにかく頑固者が多いんですよ(笑)。
>ただオタクがオタクとして人目を気にせず堂々と話せる場と
>いうのは少ないので、王子バーや良質のメイド喫茶、是非長く
>続いて欲しい物です。
ええ、ですから、かつては孤独を愛したオタクという人種も、人と人との生のつながりを求めるようになったんじゃないですかね。
メイド喫茶は、別にギャグとして現れたわけではなくて、実は「生身の女性にオタクとして接していたい」という切実な願望の現われじゃないかと思うんです。
イベントが非常に多くなったのも、人と繋がっていたいという本能があるからでしょうね。
だから、「ライブ感」が何より大事なんですよ。
投稿: 廣田恵介 | 2006年9月25日 (月) 02時36分