■駆け上がる瞬間■
●押井守×プロダクションI.G『風人物語』 レビュー執筆
けっこうよく書けたと思うんだけどね。すごく地味なところに載ってるから、20万部配布しても、20人も気づかないだろう。けど、『風人物語』はいい作品だよ。
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もうね。この二日ほど朝10時まで原稿書いて寝たら、11時半には電話で起こされる日々だったので、届いたのにじっくり見てる時間もなかったのよ。 言っただろう、俺はいいものであれば服でもオモチャでも等しく金を払う、と。
俺は原作がどんなキャラかなんて知らないよ。でも、このキャッチーさを見てよ。このバルーンスカート…っていうか、もう足が浮いちゃってるの。まっすぐ伸ばした両腕も浮遊感を演出してるし、ポイントを散らしてないんだ。見どころを絞っている。
あと、バルーンというかカボチャの彩色も見事でしょ。成形色の上に二色吹いてて、目と口にはクリアパーツ使ってて(足とショーツがチョイ見え)。色が分散しないように、髪にもオレンジ系のシャドウが吹いてあるのがうまい。ポップだよねえ……。
まあ、今流行の脱衣ギミック(バルーンスカートを外せる)はお子様向けだったかな。
さて、ここ数日はずいぶんと色々な方から意見をもらったのだが、CMディレクターのS崎氏の意見が白眉なので、ちょっと長いけど引用。俺がこの手のものに金を使うのに対して、「廣田さんの中に流れる、様々な血が買わせた訳でしょう? 廣田さんの脳内のアニメ知識&理解、造型知識&理解、 そして、造型物側の解像度と理解度の進化が購買衝動を掻き立てた訳じゃないっすか。
萌えと言ってしまうと聞こえは悪いけれど、2Dキャラの立体造型化ってのはかなりの造型力がなければ難しい訳で。しかも、それで萌えられてしまうという。感覚的なものまで3D化するってのはかなり凄い出来事でしょう」。
くううぅ……分かってるね!
「常にこの手の趣味というのは、 「スピリッツ」<「スタイル」<「ホビー」の流れで一般化するのだなと。 ガンダムがまさにで。今はもう安心感だけで皆買っている。
(中略)
萌えフィギアは今、スピリッツですな。 スタイルには出来ない。ホビーというにはコア」。
もう、あんたがブログ書いたら!?とか思うんだけど。だよねえ、ガンプラだって昔は「リポンつけましょうか?」と店員に必ずツッコまれる、恥ずかしいリボン紀があったわけでさ。
個人のスピリッツがダダダッと駆け上って、消費するというスタイルが出来上がって、マスプロダクツに乗ってホビーに至る、と。その“駆け上がる瞬間”が一番熱いんだよね。
↓こいつのパッケージには「幼児向け玩具ではありません」って書いてあるんだけどさ。違うね。ある意味で幼児向けだろうよ。
パンツの見えるフィギュアを買うのに思春期的な恥じらいすら感じないのであれば、そいつは幼児だろうよ。
明らかに、このフィギュアの造形センスは凄い。でも、戦場がないんだよ。世間さまの白い目に対して、「お前ら、萌えフィギュアをなめんなよ?」と立ち上がる瞬間が、いまだにないじゃん。
そりゃ、大人になれるわけないよ。思春期のとば口にすら立ってない。
だから、俺はこうして堂々と晒すのよ。優越感に勝てるのはコンプレックスだけだからな。
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コメント
萌えについて難しいことはわかりませんが…
これ、すっごいキレイ。
「リボン紀」に笑った。
投稿: yuki | 2006年8月26日 (土) 07時10分
■yuki様
女の目から見ても、これは「おっ?」と思うでしょ。
>「リボン紀」に笑った。
子供のいる歳になったら、そんなに恥ずかしくないんだろうけどね。
あの頃は侮辱された気分でいっぱいだった。
投稿: 廣田恵介 | 2006年8月26日 (土) 10時22分