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2006年2月 3日 (金)

■58m/h■

 「どう違うの?」 全長58メートルの二つの塔を前にして俺は尋ねた。「右が急上昇、左が急降下です」と、係のお姉さんはつまらなそうに答える。無理もない、通常800円のところ、あまりに客が少ないので500円にオマケしてくれているのだから。だからって、58メートルは58メートルだ。さて。「急降下の方ね」と俺は答えた。
 さすがに声が出た。高いのは怖くない。が、落ちる瞬間、恐怖と笑いがないまぜになる。これぞ未知の感情さ。「あはは!」 笑いが出た。落ちろ落ちろ、もっと落ちろ! まあ、安全上そうもいかないのであるが。でも、最初のマイナス1Gで尻が浮いた瞬間は「あはは!」だったな。
 昨日から住んでいる部屋は、地上9階。ベランダから風で飛ばされそうだ。飛ばされたら、その時はその時。それまでの人生よ。
 Kさんが言った。「どうして、人類はああいう危険な乗り物ばかり作るんだろうね」。いや、Kさんには分かっているはずだ。空は、あの世に接している。何たって、天国は空にある。稲垣足穂の本に「空にあるものは、何だってみんな美しいんだろうね」という一節があった。あの世に近いからだろう。
 そして、重力とはお釈迦様の手のひらのようなもの。高いところへ登ることによって、われわれは生死を重力にゆだねられていることを知るのだ。

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コメント

廣田様こんばんは。

私は日常的に車の運転をするせいか、自分でコントロールできない乗り物に乗るのが、本当に苦手です。

バスや電車は大きいし、とりあえず人の手で動かしているものだから、まだなんとか大丈夫ですが。

絶叫マシンは、たとえ花やしきのコースターでもダメです。

まして運転手もいないのに58m/sだの、体感スピード何百km/hだのいわれる最新マシンなんて・・・。

自分の命くらいは、自分で握っていたいなあ。

ほんとうに自分のものだと言える、数少ないものの一つだものなあ。

一時のスリルのために、見えない何者かに預けるなんて怖くて怖くて・・・。

でも、彼女は、こういうのだーいすきなんですよ。あーあ・・・。

投稿: TAKA | 2006年2月 4日 (土) 00時58分

■TAKA様
いや、僕の乗った絶叫マシンは、ちゃんと運転手いますよ。地上にだけど(笑)。
僕は車に乗らないから、自分で運転するって感覚が分からないだけですかね。

>自分の命くらいは、自分で握っていたいなあ。

病気で死ぬのは僕もイヤですが、自分で選んだことで死ぬのは構わないと思ってます。
何か行動するときは、半分は自分が決めるけどもう半分は神様が決める……と最近は思うようになりました。
その半分を決める神様が、TAKAさんの場合は絶叫マシン好きの彼女なのかも知れないですよ?

投稿: 廣田 | 2006年2月 4日 (土) 09時32分

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