■The round one■
地上250メートルよ、俺を失望させるな……しょせん遊覧ヘリは遊覧以上のものではなかった。せいぜい、自分が書こうとしている世界がこの高さではないことが分かった程度だ。航空会社のお姉さんが「高すぎず低すぎず」と言っていたが、この高さは、とても下品だ。恐怖もなければ、神秘もない。
このまま帰るわけには行かないので、ヘリポートから舞浜駅まで歩き(いつかディズニーランドへは一人で行ってやる)、隣駅の葛西臨海公園で降りた。ハチクロに出てきたあれに乗るためである。この前のパレットタウンの観覧車より2メートル高い。が、もはや高さの問題ではない。どう見るか、という問題だ。ゴンドラの中で寝そべったりのけぞったりして視界を広げてみる。
それでも気がすまないので、海上バスで帰ろうかと思ったが、このシーズンは休航している。腹立ちまぎれに人工渚まで歩くと、はるか対岸で大きな風車が回っているのが見えた。次はあれを見に行こうと決めた。やはり建造物は丸いか、回っているものがいい(高い建物は、立つことによって重力に拮抗しているわけだから、ただ建っているというだけで立派だ)。
ちなみに、その風車は住所がないところに建っているという点も素晴らしい。居場所なんかなくても回り続けるというのは素晴らしい。そこに「在る」ことによって、実在を宣言しているわけだ。しかも、ただ一人で回っているのではなく、風を味方にしているのである。そんな人生でありたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント