■Have a nice trip!■
雪におおわれた動物園では、おごそかに「蛍の光」が流れはじめた。まだ15時半だというのに。しかも、もう客は僕一人しか残っていない。滑り止めを巻いた靴でなだらかな斜面を駆け下りると、いいタイミングでバスがとまっていた。ここ旭山動物園から駅までは悪路を40分。「なんか気分がムカムカしてきたな……まさか、昨夜の酒か?」 ちがう、これは乗り物酔いだ! バスで酔ったのなんか何十年ぶりだ?
……日本列島には記録的な寒波が来襲し、僕の風邪は順調に悪化していった。これは明らかに「行ってはいけない」というサインだ。それでも便は欠航にならず、僕はあっさり北海道に渡れた。もし悪天候で飛行機が落ちても、それはそういう人生なのだと本気で思った。トラブルには逆らわない。人間自分で決められるのは、物事の本当に些細な部分だ。それを確かめたかった。それには、歩くにも不便な北海道がちょうどふさわしく感じた(が、当地の人間はピンヒールでカツカツと歩いていたりする。滑り止めを付けて歩いていてると、一発で旅行者だと分かるんだそうだ)。
そしてトラブルらしいトラブルは、旅行二日目の深夜2時過ぎにやってきた。なんで俺が北海道まで来て韓国人に逆ギレされねばならんのだろう。あれは本当にワケが分からなかったし、ひたすら不愉快だった。まるで崔洋一の映画の世界。だけど現実だったんだよな。やはり面白いな、現実は。不愉快だったけど。
思うに、何もかもがお釈迦様の手のひらの上のこと。飛行機が空中爆発しても、お釈迦様の手のひらに落ちるだけだよ。気にしない、気にしない。
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コメント
ひろたさま、こんばんは。
えてしてこの世は難儀なものだったりしますね。
難儀なことほど後になると思い出深かったりして、人生のスパイスだったりしますね。
来年は一体どんな難儀なスパイスが待っているでしょうか。
・・・とにもかくにも、2005年はのこりわずかです。ラストスパート、がんばっていきまっしょい。少し早いですが、どうぞよいお年を。
投稿: TAKA | 2005年12月26日 (月) 00時48分
■TAKA様
僕の場合、大晦日も元旦も仕事してるので「今年」「来年」という大きな区切りはなかったりします。
ともあれ、トラブルを楽しむぐらいでないと人生面白くない、というのが昨今の感想であります。よいお年を。
投稿: 廣田恵介 | 2005年12月26日 (月) 10時04分