« ■NO FUTURES GO■ | トップページ | 「自転車」 »

2005年11月10日 (木)

■O・K,パ・ド・ドゥ■

 生まれて初めて書いたラブレターの返事は、中学校の廊下でじかに本人から聞かされた。「意味が分からない」とのことだった。駅前の文具店でクラシックカーのイラストがプリントされた便箋を買ってくると、俺は気持ちも新たに思いをしたためた。果たして、今度はどうか? ちゃんと返事は来た。
 この経験から学べることは、文章はキャッチボールをしながら書いた方が相手に伝わりやすい、ということだ(俺が初めて惚れた相手は、優れた編集者であったと言えるだろう。それ以上の仲にはなれなかったが、とにかく「気持ちを伝える」という大事な仕事を助けてくれたのだから、それはいい恋愛だったに違いない)。
 アニメ評論家のF津さんと共同でひとつの記事をつくってみたが、これぞ発見の連続。「おーっ、句読点ってこう打つのか!」「えっ、この人文中に(照)なんて使うんだ! か・かわいいっ!」
 いいラブレターを書きたくば相手と共同で書け。君の書いた言葉を彼女は呼吸し、彼女の“直し”は君の弱点を指摘してくれる。君の痛みは、やがて彼女の痛みとなる。相手の字をなぞれ! そのとき、君たち二人は同じ神を見ている。同じ神に宛てて、一通のラブレターを書いている。
 彼女に向けて書いていたはずのラブレターは、いつしか彼女から君へのラブレターとなり、たどたどしく動いていた鉛筆はいつしか音速を超える。ラブレターはただのラブレターであることをやめ、君はただの君であることをやめる。
 結局、自分を越えるには他人の手を借りるほかないのだ。

 F津さんとの共同記事は、来月発売のグレートメカニック誌にて。

|

« ■NO FUTURES GO■ | トップページ | 「自転車」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■O・K,パ・ド・ドゥ■:

« ■NO FUTURES GO■ | トップページ | 「自転車」 »