2009年7月 6日 (月)

■大人のジブリ■

早めに取材したほうがいいな、と思い、日曜昼間、男一人でジブリ美術館(三鷹市民は、思い立ったその日に、当日分のチケットを買えるのです。予約不要)。
090705_12110001周囲の目も気にせず、レイアウトや動画(原画はあんまりなかった)にかぶりついて一時間半ほど。常設展はスルーして、スパッと帰宅。
やっぱり、女性と行くと、相手のペース気にしちゃうでしょ。「屋上のロボット兵も見たいだろーなー」と思って連れて行くと「あっ、巨神兵!」なんて言われちゃう。あれは、どうフォローすればいいの?
あと、ポニョ展を見ているうち、ちょっと涙ぐんじゃったんだけど、そういうのもキモがられずにすむし、男は一人で、週末ジブリ。スコッチ片手に、ポニョ鑑賞。
……さ、記事、書かなきゃ。


夏アニメが、いろいろ始まった。やはり、『化物語』は別格だね。ようするに、俺は「驚きたい」から、映像を見るわけで、「面白いアニメを見たい」のとは、ちょっと違う。
出来れば、それを見てしまったがゆえに、取り返しのつかない事態になることを期待して見る。『化物語』はねえ――例の、スタイリッシュな演出パートについては、取材で、お話を聞いてきたんですよ。むしろ、俺がゾワッと来たのは、こう、女性キャラの妖しげな表情に、作画でぐーっと寄るでしょ。ズームじゃなくて、作画で寄る。あのねっとりしたエロティシズムは、実写には出来ないですよ。
こういう作品こそ、本能で見ないと。「冒頭のパンツの意味が分からない」なんてのは、ゴダールの映画に、セリフの意味を求めるようなもんだよ。

あと、『うみものがたり』見てるよ。見逃しませんよ、俺は。
P_tyogyogun_0617_2マリンちゃんが、魚群に包まれて変身するのは良いアイデアだけど、本物の魚群予告(写真参照)のほうが迫力あるだろう、断然。
それをあんな、灰色のサンマみたいのをチョロッと出しといて「魚群だ」って説明したって、ぜんぜんアツくないよ。「客を期待させる」という役割は同じなんだから、本物の魚群予告に勝つつもりで、お願いしますよ。
アニメ『うみものがたり』のライバルは、ただひとつ、パチンコの『海物語』なんだよ。今週も必ず見るから、がんばってください。


サークル【時祭組】の『メガゾーン23』同人誌『フェスティバルタイムズ Vol.0』が、いよいよ海外通販開始。なんだか、意図するともなしに海外を向いちゃってるという。国内の同人誌ショップには、委託しないようです。


本日のティンカー・ベル。
090704_14490001瀬戸ノベルティと呼ばれる陶器。羽が折れそうで、とっても怖いんだが、横顔がすごく似ているし、好きなポーズなので、箱にしまっとくのは勿体ないんだよねえ。

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2009年7月 4日 (土)

■キャラ化の果てに/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」最終夜■

『ポニョ』DVDが家に届いた頃、ちょうどジブリで取材でした。
090703_18560001何だか、ジブリ美術館のポニョ展も、取材に行かなきゃならない雰囲気。
あそこには、さすがにオッサン一人で行ったことはないので、広報のお姉さんに案内してもらおう、とも思ったのですが、一人のほうが気楽なので、一人で行ってきます。


さて、全国で4人ほどの読者に期待されている、「いかにして~パンツ」シリーズも、今夜で終了です。
こうして80年代を、「美少女フィギュア」という視点から振り返ると、どうしてもバンダイの暴走・迷走ぶりに話が終始してしまう。前回の「アーマード・レディ」で、大手メーカーが、いかに安易にアマチュアリズムと結託し得るかを、ご理解いただけたのではないかと思う。

さて、090703_07460001バンダイ発行の定期刊行物「B-CLUB」は、バンダイ関連の各アニメ・特撮作品および、そのプラモデルやガレージキット、個人作品を縦横に掲載していて、バンダイの中に、さらに「B-CLUBカルチャー」とも言うべき、独自の文化圏を形成していた。
この14号は、87年公開の『スケバン刑事』映画版の最新情報が載っているが、同時に、主演の南野陽子、相楽ハル子らを模型化して掲載する……という、ちょっと一言ではコンセプトが説明しづらいというか、ようするに、やりたい放題の雑誌であった。
何しろ、「完成させた南野陽子のフイギュアを、モデラー自身が、撮影現場に持って行って、女優に見せる」というストーカー的企画を、白昼堂々と行なっていたぐらいだ。

090703_07320001もちろん、B-CLUBブランドでガレージキットも展開。
写真は、『スケバン刑事Ⅲ』の浅香唯である。余談だが、あの海洋堂も、当時は『さびしんぼう』の富田靖子をキット化していた。無許諾で『時をかける少女』の原田知世も発売していた。この「実在芸能人リアル再現系」フイギュアは、アニメ美少女とは別の系譜へと、枝分かれしていく。
090703_07330001気になる人のために見せておくと、B-CLUBの1/12スケール・浅香唯のスカートは「埋め式」である。
「ラムちゃんは、スカートが別パーツだったのに、何で?」と首を傾げられるかも知れないが、これはコストの問題。その一方、「パンツまで彫ったら、その芸能人を汚すことになる」「芸能人に失礼だ」という心理が、「リアル再現系フィギュア」には、込められていたような気がする。つまり、「アニメと現実の区別」が、歴然とあったのだ。

ところが、B-CLUBカルチャーによって、その境界線は崩壊する。
「B-CLUB」を中心に活躍していたモデラーの石井和夫氏は、フィギュアというより、手足の関節が動くドールを自作することで知られていた。それ以上に石井氏は、「南野陽子を作ったとしても、アニメ顔にアレンジする」作風で人気を博していた。「リアル芸能人のフィギュアは、ちょっとキモい」というファンも、石井氏のフィギュアには納得していたはずだ。
090703_07380001ただ、それは飽くまでも、石井和夫という個人の作品だったの。何しろ、手足の動くドールは、量産するとパーツも多くなってしまうし……。

だけど、バンダイは玩具メーカーだから、プラキャストに頼らずとも、「人形」として量産するノウハウがあったんだ。だから、アイドル・ブーム、『スケバン刑事』人気、石井和夫という原型師……いろんな条件が、パッと揃うの。天の配剤か、悪魔の姦計のように。
この「バンダイ ラブリー・ギャルズ・コレクション」シリーズには、他に『ダーティ・ペア』や『魔法の天使 クリィミーマミ』がラインナップされていた。ようするに、他のキャラはアニメばかりだった。これまで見てきたように、ファンはアニメ・キャラだったら、ヤスリで削って水着姿にするんですよ。アニメ・キャラに対しては、容赦しないの。
そのアニメ・キャラのシリーズに、実在の芸能人がラインナップされちゃった。しかも、アニメ顔にアレンジされて。俺は、バンダイから最悪のメッセージを受信したね。「君たち、これは南野陽子じゃないから。麻宮サキっていう、"キャラ"だから、好きにしていいよ」と。

だから、こういう仕様になるんです。
090703_07410001左の写真は、パッケージ横より。モノクロで分かりづらいけど、布製のパンツを一枚、着用しているだけ。もう、パンツはモールドではすませない。布製だから、着脱自由。さすがに胸の先端には何もないよね?と思いきや、色さえ塗ってないけど、突起がある……今回、撮影のために開封してみて、そっちの方がショックだった。嬉しくないよ。傷ついたよ。
「対象年齢:10~ADULT」と書いてあるけど、アダルトすぎるだろう、玩具店に置くには。

ようは、道徳心や公共心によってセーブされていたアイドルに対する欲望が、石井和夫氏のアニメ風アレンジとバンダイの量産技術によって、開放されてしまった090703_07420001んだ。布製の服は、脱がせること前提の仕様でしょう。
小さい頃から、リカちゃん人形で遊んでいた女性からすれば、「布製パンツぐらい、当たり前じゃない?」と思うかも知れない。
でもね、俺たち男は、いくつになっても童貞的情動を持ち続けているんだよ。だから、傷つく。ラムちゃんのキットが発売される前、カミソリを送ろうとした童貞テロリストたちの気持ちが、俺には、今、ようやく分かった。

せめて、アイドルには神秘でいて欲しい。俺たちが童貞だった頃、宇宙の真理は、アイドルたちが有していた。男子というのは、脳と股間の直結した単純な生き物なんだ。股間を蹴られた瞬間、脳が破裂するぐらい、か弱いんだよ。
だから、アニメ・キャラを水着姿に改造することに、背徳を感じる。プラモデルに彫刻されたパンツに、怒りと恥ずかしさを覚える――それはね、俺たちの体の中には、宇宙の真理なんて、そんな崇高なものは流れていないという証拠なんだ。
俺たちは、自分の肉体が薄汚く、無価値である事を、ずっと前から、知っている。

いま、ネットを見ていても、ため息が出るほど美麗かつ、エロいフイギュアが並んでいるでしょう。あれは仏像を彫るのと同じで、女性の中に、俺たちケダモノが知らない真理があると信じ、それを顕現させようと努力するから、ああまで美しいわけ。そして、煩悩があるから、パンツまで彫るわけ。
脳と股間でフィギュアを見るとき、俺は信仰に近い情欲を覚える。あるいは、情欲とは、信仰そのものなのかも知れない。性なるものの向こうに、聖なるものがあると、少なくとも俺は信じている。

語りきれなかったことは多いし、連載用に買った商品もまだ残っているけど、ひとまず、この話は、ここでやめておく。

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2009年7月 2日 (木)

■同人感覚/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」第6夜■

ここのところ、取材ラッシュで、尊敬していた方に「ブログ、見てますよ」と言われて、愕然としたりする。こんな、パンツがどうだとか、欲望がどうしたとか……こんなブログ、見ないでくださいよ。もうちょっと、頭よさげなこと書きたいですよ、俺だって。
しかし、誰も記さないことは、どこかのバカが記録しておかねばならないのです。シリーズ、続行します。

さて、前回はガレージキットの複製技術によって、落書きレベルのフィギュアまで「商品」として出回りはじめたことを書いた。
090701_13120001ちょうど年号が入っているから引用すると、左のようなイラストが、模型雑誌「ホビージャパン」に寄せられるようになったのも、この頃。少なくとも、82年ごろには、「ロボットの外装を、どこの誰でもない女の子が着用する」イラストが、一ジャンルとして定着していた。

この「ロボ鎧モノ」のルーツは、ガンプラの一種として発売された「MSV」に封入されていたデカール「グフ・レディ」とされている。
グラマーな女の人が、モビルスーツの装甲を鎧のように着ている。これが人気を呼び、ガレージキットとして立体化された。「ホビージャパン」1983年10月号の「ムラタ模型」の広告を見ると、9,800円で売られている。(C)が無いから、無許諾商品だった模様090701_13280001 (ガレージキット創成期は、無許諾商品なんてザラにあった)。しかも、商品名が書いてない。「グフ・レディ」なんて書いたら、確実に版元から怒られるから。

でもね、こういうのは無許諾で、個人商店が勝手に売ってたりするから、面白いわけね。オフィッシャルになってしまうと、ガレージキット特有の「遊び心」が、そがれてしまう。
ところが、ユーザーの意識を汲み取りすぎるメーカー、バンダイは、ちゃんと版権とって、プラモデルにしてしまったんだよね……「ロボ鎧モノ」を。
090628_09160001090628_09150001それが、この「アーマード・レディ」シリーズ。ガレージキットではなく、インジェクション成形です。
左が「ガンダムMk-Ⅱレディ」、右が「マクロス バルキリーレディ」。ガンダムMk-Ⅱは『Zガンダム』のメカだから、85年以降の製品だ。巷のガレージキットのクオリティも、かなり向上していた時期。

なので、「ガレージキット感覚の新しいプラスティックモデルキットです」と、苦しい言い訳がしてある。ようは、手足の間接がバラバラなので、好きなポーズに組めますよ、と言いたいらしい。
090628_09170001090628_09200001そんなこと言っても、中身がこれじゃあ……。別パーツになっているフトモモなんて、明太子みたいな形。
そんな明太子のくせして、やたら説教くさい説明書なんだよね。「まずは単純ではあるが決まるポーズを鏡の中の自分、もしくは写真の中、アニメのひとコマ等から見つけ出すことが大事。フィギュアモデル造りは奥が深いのですぞ!」って、この底の浅いキットに、そんなことだけは絶対、言われたくないよ。なんか、腹立ってきた。

「1/12 ハイ・スクール ラムちゃん」で、パンツに飾りをモールドしたバンダイは、確実に当090628_09190001時のガレージキット・シーンに衝撃を与えた。スカート別パーツなんて、インジェクション成形でないと、出来ない(当時の技術では)。そのバンダイが、今度はガレージ・キット・ブームに便乗している。「形から入っている」「形だけ真似ている」の典型例でしょう? 
もしチャンスがあったら、ガレージキットの実物を見てごらんなさい。写真ではなく、パーツ状態のものを手で触ったほうがいい。ものすごく、形に対して貪欲なんですよ。自分のリビドーを、全解放している。そこには「恥」がある。「恥」が感じられないものは、すべてニセモノです。
そして、バンダイの、パンツ履いたラムちゃんには「恥」があったんだ。高価なベリリウム銅の金型に、職人の「恥」を刻印した。素晴らしいよね。

だけど、今回紹介したキットは「恥知らず」ってやつですよ。
どれだけ、自分の恥をさらせるか。人間の価値も、プラモデルの価値も、それで決まるような気がする。
最近の、緻密なガンプラを組んでいると、「たかがガンプラに、こんなに本気になっちゃって、まあ」と苦笑してしまう瞬間がある。そういう時、バンダイへの愛おしさを感じますけどね。「ガンプラの、ここが恥ずかしい」というノロケ話も、いずれしてみたい。


あまりに友達が熱心に勧めるので、早起きして『スター・トレック』鑑賞。現バウスシアター、旧ジャブ50にて。
090629_10320001最後にジャブ50で観たのは、イタリアン・レアリズモ特集の『無防備都市』だった。20年近く昔のことだ。
今まで、どの映画やテレビを観ても、なかなかノレなかった『スタ・トレ』。今回は、OVA版の『宇宙の戦士』同様、未来なんだけど、風俗は50'sという素敵な世界。農地の真ん中に、いきなり宇宙船の造船所がある「絵」には、ガツンとやられた。

SF設定的には、難解すぎる部分があったけど、キャラクターたちは若々しく、愚かなまでに前向き、すがすがしい。その後、夜中近くまで取材だったけど、元気でいられた。

邦画も、『プラネテス』ぐらい実写化しようよ……宇宙工学を前提にした、ちゃんとしたやつね。


この一ヶ月で、部屋がこんなになってきた。
090701_02570001ティンカー・ベルのコレクターは多いので、僕は、このジャンルではB級でかまわないんだ。

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2009年6月29日 (月)

■合金少女の重み/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」第5夜■

メガミマガジン 8月号 明日発売
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『化物語』原作 西尾維新 インタビュー
いやあ、このインタビューは面白かった! メーカーからのお願いで多くは語れないし、最終誌面がどうなっているのか、見せてもらえてないのですが、話術に幻惑されるというか、インタビュー起こしをしているだけで、しゃべくり漫才になっていくんですね。面白かった。
アニメの『化物語』は、第1話を拝見しましたが、これまたカッコいい。何というか、「このアニメ、好きで見てるんだよね」と女の子に自慢できます。
ミニシアターで、得体の知れない映画に出くわした時のような、「俺の映像センス、一歩前進」みたいな感じ。関東では、今週スタート。


さて、たった二人の読者のために、今日も始めますか。
第3夜のときに、「フィギュア趣味には、個人名がつきまとう」というようなことを書いたと思う。80年代から現在まで、個人が自らの手指で培ってきた文化、それがガレージキット。
090626_07440001090626_07390001ガレージキットの話を始めると、それこそ、本一冊でもすまないので、ここでは手早く、フカヤというメーカー(というか、お店ですね)の発売したキット「マジカル・エミ 普段着タイプ」を見て欲しい。
分かりますか、この手づくり感。箱なんて、作り手が勝手に描き下ろしてる。でも、ちゃんと版権マークが貼ってあるでしょ。キット自体は、無発泡ポリウレタン(商品名をとって、プラキャストと呼んでいた)という素材で出来ている。これなら、自分の家の机の上で、自作のフィギュアを量産できる。
プラキャストは、粘土やパテをこねてフィギュアを作っていた素人にとって、「夢」だったんだ。これなら、プラモデルのように量産が出来るから(数は、たかが知れているけど)。
090626_07400001今でも個人がイベントなんかで販売しているけど、日本各地のお店が好き勝手に作って通販してたのは、80年代半ばぐらいか。左のように、説明書も手描きのコピー。内輪受けの4コマ漫画が、ほほえましい。原型制作は、バンダイ発売前にラムちゃんを作って、雑誌で有名になっていた三星政広さん。三星さんのラムちゃんは、本当に素晴らしかった。
つまり、こういう個人が雑誌を通じて、ユーザーとメーカーを刺激していたから、大手メーカーのバンダイが、ラムちゃんやミンキーモモの発売に踏み切れたわけ。

でも、ガレージキットには、決まり事なんてなくてね。
090626_07470001090626_07460001中には、こんな合金(ホワイトメタル)製の女の子なんもあったりして。ゼネラル・プロダクツ発売の「1/12 DAICON Ⅳの女の子」。女の子なのに、重たい、重たい。
やっぱり、材質って大事。プラキャストのアイボリー色って、なんか「そそる」んだよ。でも、こんな、錫合金なんて、あんた。メカゴジラじゃないんだからさ。
だって、今まで掲載してきた「肌色のプラスチック」って、なんか、造形が悪くても「うわ、やらしっ」て思わなかった? そういうもんなんです。プラキャストってのは、うっすら透きとおった質感で、そのままでも十分に、エロティックな感じがする。

それで、80年代中頃から、非版権モノというか、単なるハダカの女の子とか、訳の分かんない、落書きみたいなガレージキットも出てきた。へったくそな、SMフィギュアとかさ。上の、合金製の女の子も狂気なんだけど、むき出しの欲望が、模型界を裏から侵食しはじめて……もう、目まいがする。悪夢だよ。
ようは、便所の落書きに、値札がついてたんだ。それが上手いか下手かってだけで。「萌え」なんて甘いもんじゃないですよ。「欲」ですよ。
かくして地獄の釜がひらき、気がつけば、審判のいないゲームが始まっていたのである。次回更新につづく。


やっと、『きみの友だち』見たけど……もう、親しい人が病死して、それで泣けるってパターンはやめにしないか? 原作は、重松清。『その日のまえに』も闘病モノだったけど、あれは大Sub1林宣彦と永作博美が、一世一代の大暴れをした怪作だったから、よし。
しかし、『きみの友だち』の廣木隆一は、日活ロマンポルノ出身の職業監督で、一般作デビュー当時から、何をしたいのか分からない人。こんな中学生日記みたいな話なのに、125分もある。ロングで長回しのカットは、悪いけど早送りにさせてもらった。
主演の石橋杏奈は、声も含めて、個性的な、いい女優だった。肝心の吉高由里子は、別に吉高でなくとも……という役どころ。監督を選ぶ女優だね。蒼井優とは正反対だ。
でも、この記事なんか読むと、ますます吉高由里子が好きになるねー。「這いつくばって監督にゴマすりすり」って、お前、死んでいいよ(笑)。もう、大好き。

廣木隆一の最新作は『余命一ヶ月の花嫁』。また闘病モノ。同監督の『恋する日曜日 私。恋した』も、堀北真紀が余命3ヶ月の末期がん。監督自身が作品を選べるとは限らないので、単に邦画が「病死ブーム」なんでしょうね。
「人が死んだから、泣けた」なんて、カタルシスとして近道すぎるだろう。


『うみものがたり』のアニメ、始まったね。マリンちゃんの、金髪でポニーテールという髪型は、ここまでキャラを変えてもキャッチーだと思った。そこだけは、心から感心したね。
あと、3DCGの使い方がチープで、なんだかホッとした。そういう油断やスキが、作品の愛らしさに繋がることもあると思う。

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2009年6月27日 (土)

■OVAの時代/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」第4夜■

今日から忙しくなるので、さらっとインジェクション・キットを紹介しておきます。
前回紹介した、ニットー(日東科学)の『タッチ』。実はアニメ放映は、キット発売の翌年、1985年。だから、アニメではなく漫画のキャラクターを商品化したわけ(パッケージも、あだち充のイラストを転用)。同じ年に、やはりアニメ化されていない漫画『やるっきゃ騎士』なんかも発売していたぐらいだから、どこかバンダイとは、別の方向を向いていたのだと思う。090626_07370001
090625_09200001_2そんなニットーが、唯一、アニメ作品のキットを発売した。それが、この『幻夢戦記レダ』。テレビアニメではなく、OVAだ。1985年発売で、キットもそのタイミングに合わせたはず。
85年ともなれば、OVAも「半裸のお姉ちゃんで売っていこう」という商業性が明確になってきたからね。そういうキットを出したいメーカーにとっては、いいネタだよね。

その「ビデオ」という媒体との一体感を示すのが、キットの内箱。まずは見て欲しいんだけど、なぜかVHSカセットを模したもの。大きさも、本物のVHSとま090625_09210001ったく同じ。……ちょっと、意味わかんないよね。
OVAからのキット化は前例がないから、気負ったんだろうけどね。ビデオデッキの普及した頃だし、VHSカセットのデザイン自体が、何か新しいメディアの象徴のように捉えられていたのかも知れない。でも、だからって、プラモデルのパッケージに使うことないだろ……。

090626_08480001090625_09240001_2さて、キット内容は、1/12の「17歳 朝霧陽子」と1/20の「エアバイク ステード」のセット。
「エアバイク」という肩書きは分かるとして、「17歳」って何だよ。とにかく、80年代は万事がそうなんですよ。歌謡番組では、松本伊代が「伊代はまだ16だから」と歌っていたし、女子大生ブームから女子高生ブームへの変遷期だったことが、17とか16とかの数字から、伝わってくるよね。
せっかくの半裸のお姉ちゃんのプラモデルなのに、ポーズも直立不動だし、足なんか棒みたい。ビキニ型鎧の宝石部分を、クリアパーツで再現してるけど、それはセクシーとかエッチとかとは関係ないし。
他メーカーでは、今井科学が「1/12 リン・ミンメイ」なんかを発売していたけど、中空のモナカ構造のやっつけキットで、特筆すべきところはない。発売は83年か84年のはず。
インジェクション成形の美少女フィギュア・キットでは、とにかく、バンダイほどツボを心得たメーカーは、皆無といって良かった。

さて、オマケとして、1997年にバンダイがリミテッド・モデル・ブランドで発売した『ファイナル090626_09270001 090626_09260001ファンタジーⅦ』の「エアリスゲインズブール」を紹介しておく。
さすが、バンダイ。15年経過しても、パンツ健在。
ただ、完成品フイギュアでも、パンツ成形が当たり前となっていた時代のキットなので、なんか気迫が感じられないよね。
こうして見ると、プラモデルってメーカー発信の「表現物」なんだと実感する。表現である以上、受け手を傷つけても構わないと、僕は思う。
バンダイのパンツ成形に、パンツ用デカール……すごく、嫌だった。でも、嫌悪感を持たれるってことは、ユーザーのセクシュアリティに触れているわけで、たかがプラモデルに、俺たちは心の恥部を見透かされた気がしたんだ。
80年代、一番、プラモデルにして欲しくないものを、バンダイはプラモデルにした。「表現物」として、エキサイティングだった。(バンダイのキットには、あと一度は登場してもらう予定)


友人と、『ターミネーター4』を鑑賞。
090624_19170001こりゃ、『ターミネーター』シリーズ(第三作は除く)へのラブレターだね。とにかく、シリーズを深く理解しようという愛情だけは感じた。一本の映画としては未完成だけど、ラブレター度で巻き返した。
シリーズの時間軸としては未来へ行っているけど、プリクエル(前日譚)だね。

プリクエルが流行っている、最近のハリウッド映画界。もともと、80年代SFX映画のプリクエルを始めたのは、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』じゃないか? だとしたら、ルーカスは、またしても映画の流れを変えたんだと思う。そういうとこだけは、ほんと慧眼だと思う。
しかし、一度終了した物語の過去を描くだけではなく、「そこから先」を開拓しようという気概が、やはりエンターテイメントには必要なのではないだろうか。


メモ。北島敬三写真展「ヘンリー・ダーガーの部屋」、7月3日から24日まで開催。というか、あの部屋が、まだ残されていたとは! 訪ねたかったよ!
最近、気に入っている方の作品ブログ「 not, うさぎ 吸引 」。ダーガーっぽい。でも、けっこう社交的な人みたいなので、もっと病んでて欲しいなあ、と勝手な希望。

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2009年6月24日 (水)

■3年目の真実/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」第3夜■

マクロスエース Vol.002 26日発売予定
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●飯島真理 インタビュー
4ページ、カラーのインタビュー記事です。聞き手は別のライターの方ですが、文章のまとめは、テープを受け取って、僕がやりました。
「フィギュア王」とダブる部分は、なるべく避けたのですが、あっちは内容的にディープすぎたかも知れないので、読みくらべてみていただけると、面白いかと。こちらは、写真も撮り下ろしですし、けっこうテイストは違うと思います。


「おい、いつ連載が始まるんだ? 掲載される雑誌の名前ぐらい教えてくれ」と、友人に言われましたが、この「萌えフィギュア考古学」は、あちこちで没にされてきたので、今さら連載なんかしません(笑)。

さて、今日は忌まわしい話から始めましょうか。
今でも僕は、『プリキュア』のような女児向けアニメを、大人が真剣に見るという行為は、ちょっと照れながら、こっそりやるべきだと思っている。その思いは、バンダイが「1/12 魔法のプリンセス ミンキーモモ」を発売した83年から、変わらない。090621_17010001 090621_17020001                 
だから、このキットの発売は喜べなかったし、当時も忌避していたね……(買ったのは、つい最近)。だって、パンツに貼るためのマークまで付いてるんだよ? そして、説明書にはそのマークをどこに貼るか、一言も書いてない!
バンダイからのメッセージは、ますます意地悪になっていくね。「君なら、このマークをどこに貼るべきか知ってるんだろう? 知らない人が、こんなキット、買うはずないよね」って。

そういう陰湿なキットなんだけど、それでも、あえて取り上げたのは、秋山徹朗という先駆的モデラーが、まず完全手作業で立体化、それが「模型情報」誌面で好評を博し、キット化にいたったという過程があるから。つまり、商品の裏に、スター・クリエイターがいたのだ。
クリエイターが名前と趣味を明らかにすることで、フイギュア・ムーブメントが活性化したのは間違いないし、今でも完成品フイギュアに原型師の名前が入っているのは、その名残りだろう。ようするに、「個人の趣味」を「商品」にしてますよ、という誇り、開き直り、免罪符、いろいろを意味しているのだと思う。

さて、ここで話を1981年に戻す。
090623_14550001ガンダムで唯一、ミニスカを履いていたのは、フラウ・ボゥ。ところが、1/20の「キャラコレ」のフラウを、えげつないアングルから見てみると……(写真参照)。
パンツのパの字もない。左官屋さんが埋めたみたいに、まっさら。ストイック。殺伐といってもいい。それが翌年の「ハイ・スクールラムちゃん」では、リボンが細密にモールドされ、2年後に発売の「ミンキーモモ」では、パンツ用のデカールまで付属したわけだから、人間って怖ろしい(と、かなり真剣に思います)。

さて、インジェクション・キットでのパンツ刻印の歴史は、ひとまずここでピリオドを打つ。
バンダイ、タミヤ以外の追従メーカーは、何をしていたのか。もう、パンツじゃないんだよね。
090623_09190001090623_09210001_2ニットーの「1/12 タッチ 新田由加 浅倉 南」セットは、ブルマーとレオタードで勝負に出た。これの発売時期は84年。でも、なんか生々しいんだよね、ブルマーにレオタードって。それで売れなかったんじゃないかな。
つまり、プラモデルを組み立てる、改造して理想の形にするのって、一種のファンタジーなんだ。だから、戦艦とか戦車とかF1とか、部屋に置けないものが多い。
そういう、目の前に現存しないものを緻密に作るのが、プラモデルの歴史だったし、今でもそうありつづけている。

ところが、ブルマーやレオタードは、いかにアニメ・キャラが着ていても、風俗性・日常性が強すぎて、なんかイヤなわけだ(オジサンたちの間でブルセラが流行るのは数年後だが、若者があの現象に引いたのと似た心境)。
ようするに、自分の指先で「作る」「組み立てる」ことで、たかが指先とはいえ、「自分の肉体というノイズ」が、プラモデルに織り込まれてしまうわけ。それは、愛着にも、自己嫌悪にもなる。もし、今回とりあげた欲望直結型の“パンツ美少女モノ”が「買う」だけですむ完成品だったら、こんな奇怪な進化図は、経由しなかったはず。
こうしたインドア型の思春期趣味が、この国で何十年も続いてきたのは、「自分で作る」という肉体的行為が介在していたからだと思う。

さて、何しろ、雑誌連載のつもりだったから、まだまだネタはあるんだが……もう十分だよね(笑)?


「最近、吉高由里子を見てないぞ」……と思い立ち、『重力ピエロ』を鑑賞。
090622_11180001岡田将生、こんな精悍な顔つきになってしまって……もう、軟弱高校生を演じられる顔・体ではなくなった。でも、いいことだよ。これから、いい役がいっぱい来るよ。
内容は、『アヒルと鴨のコインロッカー』並には、意外性があって飽きない。ただ、陰惨というか、全体にウェットだね。あ、『同じ月を見ている』の監督なんだ。道理で。

肝心の吉高は、役の正体がバレるあたりが、見どころ。世界中、吉高由里子以外には出来ない、奇妙な体の動きをする。もう、演技とかそういうレベルじゃない。身体構造が、吉高由里子。天才すぎ。
脚本的には、状況説明のための便利なチョイ役なんだが、コイツはホントにねえ……瞬間的に、映画のムードを、木っ端微塵に破壊してますからね。

なんだか、吉高成分が不足していることに気がついて、帰りに『きみの友だち』を借りた。


吉祥寺で見かけた、DVD屋の看板。
090622_13590001『ポニョ』の宣伝とは言え、「こんな時代だからこそ駿」って……なぜ、呼び捨てなのか(笑)。
『アオイホノオ』第二巻で、庵野秀明が宮崎駿を「宮崎さん」と呼んで、山賀博之に「知り合いでもないのに、なんで、さん付け?」と不審がられるシーンを思い出した。

でも、いい字だ。きれいなポップ。

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2009年6月22日 (月)

■バンダイの功罪/シリーズ「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか」第2夜■

フィギュア王 No.137  24日発売
819988
●飯島真理 ロングインタビュー Vol.3
たった3ヶ月ではありましたが、最終回です。
第二回の時も、宣伝用動画をつくった方がいらっしゃいまして、どうもありがとうございました。今回は、『マクロス』のマの字も出てきません。
飯島真理さんのインタビューはこれで終わりかというと、実は他誌にも掲載されます。また告知します。


さて。前回は、天下の田宮模型が「女子大生のスカートを別パーツにした」ところまでだった。それもこれも、「水着姿の女の子をプラモデルで作る」という欲望の産物で、古くは「タミヤ人形改造コンテスト」に、その萌芽を見つけることが出来る。
「こんなに水着姿の改造が流行るなら、もう最初から水着の女の子をキット化した方が早いよね」と、バンダイが判断したかどうかは知らないが、おあつらえ向きのキャラクターがいた。『うる星やつら』のラム。アニメ放映が81年、キット化が82年だった。
090621_16590001全4種類の、このシリーズに関しては、技術的にも語るべきところは多い。だが、とりあえずはシリーズ第四弾として発売された「1/12 ハイ・スクールラムちゃん」を見てもらえれば、事足りる。
それまでの3種類は、虎縞ビキニのポーズ変えで、UFOなどのオマケが付属していたのだが、シリーズ最終作は劇中でも見られたセーラー服姿だった。「はいはい。どうせまた、パンツのラインが彫ってあるんでしょ」ぐらいまでは、誰でも予測できた。

ところが「おい、バンダイが狂ったぞ!」と、模型仲間が呆れ顔で訴えてきた。今度はパンツの正面に、リボンのような飾りが入っ090621_16560001ている。
090621_16580001またもや、バンダイ からのメッセージを感じたね。「お前ら、ちゃんと色を塗れよ? 飾りまでモールドしたんだから、無視すんなよ?」と。
モデラーを共犯者にしよう、という意志を感じたね。くどいようだが、完成したら見えなくなるパンツに、飾りまでモールドされて(幅3ミリ程度とはいえ)、それを見なかったことには出来ますまいよ。
このキットの購入者の9割が童貞だったと思うけど、そりゃ動揺したよね。自分の趣味の領域に、セクシュアリティが侵入してきたんだから。

その動揺を示す、最初の兆候が、キットの発売が告知された時のバンダイ発行「模型情報」誌の読者投稿欄。「友達が、バンダイにカミソリ送ろうかと話してます」「ラムちゃんを好きだからこそ、キット化して欲しくない」……当時のオタクは、今みたいに「みんなで一緒に楽しむ」ことを知らなかった。独占欲が強かったんだ。
さて、「カミソリを送る」と脅されたバンダイ側は「僕らも、君たちと同じくらいラムちゃんが好き! だからこそ、キット化したい」と、これまた童貞くさいリアクション。いいよねえ、このやりとり。
「好き」、それも漫画に出てくる女の子を「好き」ということに対して、メーカーとファンが、公然と意見を戦わせる。しかも、プラモデルを出すかどうかについて、だよ? 
セクシュアリティを問われる10代に、何について真剣になれたか――。それによって、その人が生涯にわたって大切にするものが決まる。それが、他人から見て、どんなにえげつないものであっても。


080618_14290001去年の今ごろは、沖縄へ二泊三日の一人旅だった。梅雨明けの青空の下、今帰仁城跡を見に行ったんだ。売店のお姉ちゃんが、ダラーッとした態度で、ケータイやってたのを覚えている。
名護の夕暮れの海も綺麗だった。
『ナチュン』の第五巻も出るし、今度は離島に行ってみたい。

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2009年6月20日 (土)

■人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたか■

よろず、趣味と煩悩は、表裏一体でありまして……。
時は1980年代初頭、ガンプラ・ブームに沸いていた頃。
もう、調子にのってアレもコレも商品化していた、81年に発売されたのが「キャラコレ」。ガンダムのキャラクターを1/20でプラモデル化。アムロとかシャアとかね。その時、一部モデラーたちの間で、「軍服姿のセイラさんをヤスリで削って、水着姿にする改造」が流行ったんだけど、いわば、それがパンドラの箱だった。「それだけは、やっちゃいけいなんじゃない?」という背徳的な気分は、ウエダハジメ氏が漫画にしたぐらい強烈だった。090618_16230001090618_16240001
さて、キャラコレ第三弾として発売されたイセリナを見て、「?」となった。ララァは、こういうスカートだから(写真参照)、別パーツ化するのは分かるよ。やむなく、脚の付け根までモールドせざるを得ないでしょう。でも、イセリナはパーティ・ドレスで、足なんか見えない。なのに、スカートが別パーツで、下着らしきラインが彫刻してある……。
俺は、バンダイからのメッセージを受信したね。「君たち、もうスカートを削らなくても、水着のキャラを作れますよ。ちゃんとスカートと両足を別パーツにして、パンツもモールドしときましたから」って。「ヤスリで削ってまで水着のフィギュアが欲しい」、そういう時代の欲望が、メーカーを動かしたのよ。

こうして、「完成すると見えなくなるはずのパンツ」が、世界で初めてプラモデルの金型に彫りこまれたのであった。パンチラの模型的再生である。
さて、問題は、70年代ミリタリーブームの牽引役だった田宮模型。ガンプラ・ブームの陰で、情景模型用に「動物セット」とか「ドイツ歩兵 休息セット」とか、“ソフトな”ミリタリーモデルを出しはじめていた頃だ。ようするに、反戦ムードな牧歌的なキットを出しても不思議じゃない空気が、プラモデル業界全体に流れていたのよ。田宮は、バンダイの「キャラコレ」以前に、「1/25 パットン将軍」なんていう“キャラクター・モデル”も出してたくらいだからね。

だから当然といえば当然なんだけど、あの硬派な、スケールモデル・メーカーの田宮模型までもが、「スカートは別パーツ」という、時代のニーズに勝てなかったんだよ。
090618_16190001それが、83年発売の「1/24 キャンパスフレンズセット」。
一応、1/24カーモデルの横に置くアクセサリー、という大義名分はあるものの、アイビールックの若者たちの中には、スカートを履いた女子大生の姿が……。
モデラーは大注目ですよ。だって、スカートの裾なんて、埋めてあってもいいんだもん。そういう省略された細部を「自分で工夫して作ろう」と奨励してたのが、田宮模型だったんだから。
だけど、時代の空気が、そのポリシーを曲げさせた。090618_16200001 090618_16220001
下着のラインこそないものの、スカートを接着しなければ、改造のネタは無限に広がるわけでしょ。今まで、渋い軍服姿のオッサンばかりモールドしてきた金型職人は、何を想って女子大生の下半身を、ベリリウム銅に刻印したのであろうか?

こういう、「萌えフイギュア考古学」という連載を各誌に持ちかけましたが、すべて断られました(笑)。
さっきから「時代の空気」って言ってるけど、岡田斗司夫さんの『オタクはすでに死んでいる』に書いてあるように、80年代初頭は女子大生ブームで、漫画雑誌ですら、水着のアイドル・グラビアを載せはじめた。質実剛健だった文化・メディアが、一斉にカワイイ女の子にすりより始めたのが、この頃だったんだ。

そのスタンダードが、30年も崩れてない、というのは、きっと平和の証なんだろう。思っているほど、今は不幸な時代ではない。あの時代のお気楽さ、奔放さは、まだ続いている。
裏を返せば、誰かが開けたパンドラの箱は、誰にも閉じることが出来ないってことなのかも知れない。


BS世界のドキュメンタリー『ガザに死す』。
自爆攻撃を扱った映画『パラダイス・ナウ』の舞台ともなった、ヨルダン川西岸のナブルスに始まり、ガザ地区のラファへ、イギリス人撮影クルーが、子供たちの姿を追う。カメラマンがイスラエル兵に狙撃されたことで、このドキュメンタリーは急激に美化されるのだが、すでにパレスチナ人の協力者からは、批判の的となっていた番組らしい。


ここんとこ、地味すぎる話がつづいていた『バトルスター・ギャラクティカ』シーズン3、第1649_07話『サボタージュ』。完璧な必然性に支えられた脚本、臨場感あふれる演出に圧倒される。
「習得してきたものを捨ててしまえば、かすかな希望がつかめるんだ」という、バルター博士の絞りだすような一言が、効いた。
どこか釈然としないラストも、現実と地続きな感じがして、『ギャラクティカ』らしい。

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2009年6月16日 (火)

■くだらないものに感動し、人生を変えられるのは、10代の特権■

グレートメカニックDX 9 発売中
Gmdx_9
●ギャラクティカNOW Vol.5
●グレメカ人生波止場 第三回
●オヤヂ酒場
●『RIDEBACK』 高橋敦史監督インタビュー

あとは、ホビーコーナーで壽屋の「スペシネフ」のプラモデルを、例によってリキテックスで塗ったりしました。
「グレメカ人生波止場」は、意表を突いて音響監督の三間雅文さん。意外と、グレメカってアニメ誌ノリな部分があると思うんだけどな。雑談連載「オヤヂ酒場」は、これまた意表をついて『とらドラ!』。それと「ガンダム30年を振り返る」。『RIDEBACK』は、もう何回取材したか覚えてないけど、高橋監督のインタビューは新鮮でした。
今回、表紙はバルキリーなんだけど、ガンダム以外は初じゃないかな。


ある時はzipに固められてUPされ、ある時は海外の掲示板に全ページ貼られた人気同人誌『フェスティバルタイムズ Vol.0』が、いよいよ委託販売開始!
530626056_195しかし、今回は海外向けということで、昨年のコミケで売ったとき(一冊1,000円)より、やや高くなるとのこと。どうしても1,000円で欲しい、という方は……う~ん、まだ言っちゃダメみたい。
でも、石黒昇監督インタビューが、英訳されるという特典つきなので、海外の『メガゾーン23』ファンには朗報なんですよねえ。
お問い合わせは、Over Driveまで。


レンタルで『パコと魔法の絵本』鑑賞。
『ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け』が好きだった大学時代なら、狂喜したかも知れないコンセプトの映画だ。
あまりにストーリーが予定調和で、とってつけたようなラストにもガッカリしたんだけど、でも、こういう甘い映画に救われる精神状態って、必ず来ると思う。だから、今、俺が見てつまんないから、この映画に価値がないってことではない。

10代の頃に見て救われた映画を、いま見てみると「ダサっ!」てこと、よくあるでしょう。作品との人との関係は一定ではないので、それは当たり前のことだし、10代の自分が幼かったわけではない。むしろ、今より感性がシャープだったはずなのだ。
くだらないものに感動し、人生を変えられるのは、10代の特権と言ってもいい。
いい歳こいた大人ほど、過ごした時間の退屈さを作品になすりつけるからね。退屈なのは、あんた自身じゃないのか?と、俺はいつも思うよ。

『パコ~』に話を戻すと、パコ役のアヤカ・ウィルソンが、あんなベタベタな子役演技でなければなぁ……。土屋アンナの少女時代を演じた子は、一言のセリフもないのに、えらく色っぽかったんだが。中島哲也にスケベ心があれば、『キューティーハニー』は、この人に監督して欲しかった。


今号の「グレメカ」に載っているから、もう情報解禁だと思うけど、『ギャラクティカ』シーズン2は、ちゃんと日本テレビで放映されます(秋以降)。シーズン1の視聴率がえらく良かったそうで、放映中から決定していたそうです。

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2009年6月13日 (土)

■絵心のない人の言う「綺麗な絵」は信用できる■

EX大衆 7月号 15日発売
Ex_09_07
●愛ドルのリコーダー 古崎瞳
●原 幹恵 「昭和エレジー」

それぞれ、グラビアポエム執筆。名物コーナーだった「愛ドルのリコーダー」は、今月の連載18回目が最終回。おいおい。ただ水着のアイドルがリコーダー吹いてるだけの写真に、18本もポエム書いたのかよ。我ながら呆れるが、最終回なので、気合い入れましたよ。
原 幹恵さんの方は、編集から「四畳半フォークで」というオーダー。俺の頭の中に響いていたのは、『神田川』ではなく、あがた森魚の『君はハートのクィーンだよ』だった。これも、面白い仕事だった。


絵心のない人の言う「綺麗な絵」は、信用できる。パチンコの企画(演出も含む)をやっていた頃、しきりにパチ好きの仕事仲間から説明されたのが、『海物語』の美しさだった。
Marin_480x500 もちろん、アニメ絵に慣れた俺からすると、ヒロインのマリンちゃんからして、ダサすぎて笑ってしまう。
でも、彼は力説するの。「この魚群予告が来ると、アツいわけですよ」「見ましたか、今のアブク。これ、すごく綺麗でしょう? このアブクが綺麗だから、打ってる側は、期待するんですよ」。
……いや、PS1どころかスーファミ並のCGにしか見えないって。でも、頭を切り替えないとダメ。打つのは、俺のようなオタクではないのだから。『海』の絵を分析して、グラフィッカに、わざとダサいCGを発注したりした。みんな怒ってたけど、一番人気は『海物語』なんだから、それを基準にしなきゃ。

何しろ、台の人気イコール、キャラの人気ですから。俺らはオリジナルで、『攻殻機動隊』みたいなセクシー姉ちゃんアクション物の、スロット企画を出したりしたが、クライアントの関心はイマイチだった。そんなオタ好きのするヒロインでは、マリンちゃんに勝てないのだ。
090610_15500001←近所のパチ屋のマリンちゃん像)
俺がリーチや予告のアイデアを出しても、仕事仲間は「いえ、『海』のアブクに匹敵するぐらい、綺麗なやつを」とNGを出す。デザインがダサいとか、そういう問題じゃない。打つ人は、オッチャン、オバチャンだから。
結局、僕が企画に関わったパチンコは、二台、ホールに並んだ。デザイン段階で、僕が「良い」と思った演出もCGも、ほとんど変更されていた。でも、そのダサさは、ユーザーのためのダサさ。だから、それでいいの。

さて、『海物語』10周年記念アニメ『うみものがたり ~あなたがいてくれたコト~』。監督、佐藤順一? いやいや、もうぜんぜん聞いたことのない方にお願いしたい、と俺は思ってしまう。吉田玲子、小林七郎……ダメだ、一流すぎる。もう、ローポリ丸出しの5分番組でいいではないか。こんな有名なコンテンツを、「異業種であるアニメ界」で一流にMainしようって考え、なんか地方行政っぽいよね。
アニメ界のセオリーが、他の娯楽産業で、そう易々と通用するものだろうか。何より、ヒロインが出てくるからといって「最低限、萌えられる」保険をかけ、送り手も受け手も、何とな~く安心していることが、非常にイヤ。

いいじゃないか、ダサく生まれたものはダサいままなのが、美しいんだから。パチならパチの美意識を、貫いて欲しいのよ。
既存アニメに準拠しすぎるから、似たようなアニメが多くなるわけでしょ。石黒昇監督の最新作『パッテンライ!! ~南の島の水ものがたり~』みたいなアニメも、必要なんだよ。
アニメに限らず、僕は、雑多と混沌を望む。


先日、せっかく新品を定価で入手したティンカー・ベルのパズルだが、どうしてもパッケージを開ける気になれず、新たに中古品を買ってしまった。
090612_17080001左は、ハズブロ社のフイギュア(輸入元はトミーダイレクト)。けっこう大きいのに、たった千円だった。
よく見たら、「RETURN TO NEVER LAND」と書いてある。つまり『ピーターパン2』版のフイギュアってことか……。まあ、いいか。

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